クリスマス商戦を勝ち抜くのはミニチュアおサル

ジェシカ・マーフィー記者、BBCニュース(トロント)

フィンガリングスは、2017年クリスマス商戦で売れているおもちゃの1つ Image copyright Getty Images
Image caption フィンガリングスは、2017年クリスマス商戦で売れているおもちゃの1つ

クリスマスが来るたび、休暇シーズンの大騒ぎを作り出すおもちゃが1つ登場する。子供のプレゼントとして入手したい親たちが必死になってもほとんど手に入れられそうもない、「マスト・アイテム」だ。しかし世界的なベストセラーの背後では、何が繰り広げられているのだろうか?

クリスマス前の最後の週末に向け、欲しいものリストに「フィンガリングス」を書いている子供を持つ親にとって、事態は深刻だ。

フィンガリングスとは、世界最小の霊長類ピグミーマーモセットからヒントを得た、小さなサル型のおもちゃだ。アニマトロニクス技術を採用して自然な動きをする他、鳴き声も立てる。今シーズンに人気が急上昇している商品の1つで、今や見つけるのは相当難しいだろう。

香港を拠点に置くカナダ企業ワウウィーが、このロボット型おもちゃの仕掛け役だ。同社によると、フィンガリングスはブランド・マネージャー、シドニー・ワイズマン氏のアイデアから生まれた。ソーシャル・メディアでピグミーマーモセットの投稿が拡散されているのを目にし、おもちゃを作ることを思いついたのだ。

ワウウィーの最高技術責任者ダビン・スーファー氏は、インタラクティブのおもちゃフィンガリングスを8月に米国で発売した際、ヒット商品になると確信したという。英国とカナダでは春に発売されていた。

「英国で発売されソーシャル・メディアで話題になったことを受け、米国ではフィンガリングスに対する繰延需要とも言うべきものがあった」とスーファー氏は話す。「そのため、米国で発売されると爆発的に売れ、それが続いた」という。

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Image caption フィンガリングスのモデルとなった本物のピグミーマーモセット

今やフィンガリングスは、1983年のキャベツ・パッチ・キッズ(キャベツ畑人形)の大流行や1996年のくすぐりエルモのフィーバー、そして昨年「うまれて!ウーモ」が起こした熱狂といった、クリスマス・プレゼント旋風への仲間入りを果たしている。

「ある時点で、すごいヒット商品になると気づいた。しかしそれがどの程度かは分かっていなかった」とスーファー氏は言う。「毎週、記録が塗り替えられた」。

今年の早い時期におもちゃを売り出すことを決めたことで、ワウウィーはクリスマスの休暇シーズンが本格的に始まる前に市場の反応を判断できた。またオンラインでの話題作りのために、YouTubeで影響力のある若い「インフルエンサー」たちに、フィンガリングスを詰めたバナナ型の巨大なお楽しみボックスを送った。

「伝統的なお楽しみボックスを開けるのとは全く違う体験を作りたかった。また、インフルエンサーにお楽しみボックスからフィンガリングスを叩き出してもらいたかった」とスーファー氏は話す。

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Image caption 「うまれて!ウーモ」とフィンガリングスは共に、複数の2017年人気おもちゃリストに入っている

サル型の小さなロボット人形(ナマケモノ型とユニコーン型もある)はまた、アマゾンやウォルマート、トイザらスといった大手小売店の今年の人気おもちゃリストに入っており、影響力のある英国の玩具小売店協会が選ぶ人気12商品にも選ばれた。

玩具業界のコンサルタント会社グローバル・トイ・エキスパートの玩具業界評論家、リチャード・ゴットリーブ氏は、こうしたリストの中に商品が入れば、自己充足的予言となってその年はその商品がよく売れるという。

しかしゴットリーブ氏は、クリスマスのおもちゃの本物の流行を、「自然の営み」に例える。

「ただ、適切な時に適切な商品が出るということ。その商品の何かが、ちょうどいいタイミングで人々の心をつかむ」のだと説明する。

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Image caption 2016年に誰もが手に入れたがったおもちゃだった「うまれて!ウーモ」は、今年も人気だ

「熱狂的な人気のおもちゃとそうでないおもちゃの違いは、単に不思議な魔法のような力の有無だ」

市場調査会社NPDグループ・カナダの玩具産業アナリスト、ミシェル・リーム氏によると、人気のおもちゃを作るには、革新的な新商品であることから適正価格を設定するまで、いくつかの要素がある。

「共有できる瞬間」がある商品は、ソーシャル・メディアで話題になるのに役立つ。

今年のクリスマスに話題となっている3商品(フィンガリングス、LOLサプライズ、そして今年もうまれて!ウーモ)はどれも、こうした構成要素のいくつかを備えている。

スーファー氏は、フィンガリングスのヒットを「遊び、見た目、機能、価格の完璧な組み合わせ」のおかげだと言う。

「見た目を決めて内部の仕組みを作り、この小さな体に合うよう全てを詰め込んだら、何か特別なものができたってピンときた」とスーファー氏は話す。

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Image caption おもちゃがどれほど売れるかを予測するのは難しい。あまり野心的になり過ぎると、在庫を抱え込んでしまう可能性も

リチャード・ゴットリーブ氏は、フィンガリングスを「ハイテクと人間的ふれあいの絶妙な組み合わせ」と表現する。

「かわいらしくて値段も手頃で、ポケットに入れて学校に持って行ける。ポケットにおもちゃを入れている子たちは常に人気者だった」

フィンガリングスの小売価格は、14.99ドル(約1700円)か14.99ポンド(約2300円)と、多くの人にとってプレゼントとして手を出せる価格だ。

しかし人気には問題が伴う。

まず、偽フィンガリングスだ。ワウウィーは11月、165もの偽造業者に対する一時差し止め命令が認められた。

同社はまた、需要に追いつくため生産量を上げたり、店舗への商品の配送を間に合わせるため高くつく空輸を使ったりせざるを得なかった。

リーム氏は、生産危機の舵取りは、企業にとって困難になり得ると話す。

クリスマス時期に店舗に並ぶよう出荷するために、クリスマス商戦が始まるずっと前に予測した計算に基づいて商品が注文される。あまり野心的になり過ぎると、コストがかかる在庫をたくさん抱え込んでしまう可能性もある。

「混乱の渦がどんどん高まっていき、その渦があまりにも大きくなって自分がヒット商品を手にしていると気づく頃には、こうした決定はすでに下されてしまっている」とリーム氏は説明する。

ダビン・スーファー氏は、フィンガリングスの大ヒットはつまり、来年もヒットさせなければというプレッシャーを意味すると言う。

スーファー氏によると、ワウウィーはフィンガリングスの「コレクションとして集められる」という側面を足場としていく方針で、動物やキャラクターを増やす予定だという。

ゴットリーブ氏は、成功をどう扱うかは企業にとって危険にもなり得ると指摘。ブームは通常、8カ月ほどで徐々に去っていくと話す。

同氏はただし、カナダのトロントにあるスピンマスターの商品「うまれて!ウーモ」は「この法則の例外」としている。2016年には在庫管理の問題で苦しんだものの、今も人気商品であり続けているのだ。

「同社は、欠陥品の問題に直面した。おそらく、商品を市場に出そうと本当に慌てていたことと、商品に新しい技術が使われていたことが原因だろう」とゴットリーブ氏は説明する。

「しかしそれでも、うまく(商品への)関心を維持し続けたと思う」

ワウウィーもスピンマスターも、良い商品を作る実績があるとゴットリーブ氏は話し、おもちゃの大ヒットは必ず、良い商品から始まると指摘する。

「しかしあらゆる希望、あらゆる夢をもってしても、自分では実現させることはできない。実現させるのは、それを話題にしてくれる人たちなのだ」

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Image caption LOLサプライズ人形も今年の人気商品の一つ

(英語記事 The miniature monkey that's a Christmas best-seller