G7首脳会談の1枚  この写真には誰と誰が

Leaders captured in deep conversation with Donald Trump Image copyright JESCO DENZE

カナダで開かれた今回の主要7カ国首脳会議(G7サミット)は始まる前から、ぎこちなく気まずいものになると予測されていた。アンゲラ・メルケル独首相のインスタグラムに投稿されたこの写真は、そうした気まずい一瞬を切り取ったように見える。

この写真に写っているのは誰と誰で、貿易論争でどういう立場なのか、並べてみた。

1.ドナルド・トランプ米大統領

トランプ氏は先に鉄鋼に25%、アルミニウムに15%の輸入関税を課すと発表し、欧州連合(EU)とカナダ、メキシコといった同盟国を驚かせた。いずれも報復措置に踏み切る方針を示しており、サミットは最初から亀裂の影に覆われていた。トランプ氏が孤立する場面もあった。トランプ氏は米国がまるで「みんなが金を盗み続ける貯金箱」のようだと不満を漏らしながら、閉会前にサミットを後にした。しかし、G7首脳陣との関係は「10点中10点」だとも言っている。

2.ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)

ボルトン氏がトランプ氏の国家安全保障問題担当補佐官になって3カ月、すでに情勢に影響を与えている。トランプ氏が関税導入の理由として「国家安全保障」の懸念を挙げるのは、ボルトン氏が以前から声高に支持してきた発想だ。

3.山崎和之外務審議官

2017年7月に就任した山崎氏は、パキスタンへの外交代表団を率いたほか、ソウルで開かれた日中韓の自由貿易協定の協議に参加した。

4.安倍晋三首相

安倍首相は、米国の高い関税に対する報復措置に参加するよう、他のG7各国から強く求められ、難しい立場に追い込まれた。同首相はこれまでトランプ氏との友好関係を築くために努力してきており、トランプ氏の大統領当選以降、少なくとも10回は会談していると言われている。

5.西村康稔内閣官房副長官

与党・自由民主党所属の西村氏はかつて、通商産業省(現経済産業省)で働いていた。

6.アンゲラ・メルケル独首相

この写真でも明らかなように、メルケル首相はサミットで協議の先頭に立ち、各国の相違を解消しようとしていた。8日には、米国と同盟国との貿易紛争解決メカニズムの構築を提案したもようだ。会期中にトランプ氏との関係について質問されたメルケル氏は、自分たちは常に意見が一致する訳ではないが、話し合うことはできていると話した。

「米大統領とは腹を割った直接的な関係を保っていると言える」と、首相は述べた。

7.エマニュエル・マクロン仏大統領

マクロン大統領は首脳会議が始まる数時間前に、関税をめぐりトランプ氏とツイッターでやり合っていた。このため、2人の間で花開きつつあった「ブロマンス」は終わったのかと首をかしげる人もいた。それでも2人は仲が良さそうで、マクロン氏の側近はトランプ氏との会談は「率直で活発」だったと話した。

8.テリーザ・メイ英首相

メイ首相は先週、トランプ氏に電話で、米国の輸入関税は「正当化できるものではなく非常に残念」だと伝えていた。しかし、サミットではそれよりも協調優先の態度をとり、貿易戦争になりかねない瀬戸際から後ろに下がるよう、他の首脳陣に呼びかけていた。

9.ラリー・クドロー米国家経済会議(NEC)委員長

トランプ大統領の経済最高顧問は関税引き上げの動きを擁護し、同盟国と貿易で対立が高まっている状況の責任を大統領に負わせるべきではないと発言している。クドロー氏は、トランプ氏が提案したG7内の関税ゼロ案こそ、「経済成長を促す最善の方法」だと言う。

メルケル独首相の公式インスタグラムに載った写真とほぼ同じ時に別の角度から撮られた写真を、マクロン仏大統領がツイートした。トランプ大統領をいかに多くの首脳と側近たちがぎっしり取り囲んでいたか、全体状況がよく分かる写真だ。

Image copyright French presidency

カナダのジャスティン・トルドー首相の公式カメラマン、アダム・スコッティ氏も同じ場面を撮影したが、写る人たちの表情はもう少し和やかだ。メルケル氏とトランプ氏、トルドー氏が笑っているように見える。

Image copyright Reuters

メルケル氏の公式アカウントに載った写真はソーシャルメディアで大いに話題になり、さまざまな面白いキャプションが競い合うようにつけられた。

ツイッターでは大勢が、権力者メルケル氏の姿勢や、堂々としたボディランゲージを指摘した。学校の先生が、いたずらをした生徒(トランプ氏)を叱っているようだという意見も多く出た。

ベンジャミン・ロドリゲスさんは、「この写真のボディー・ランゲージを見て。トランプは明らかにメルケルの前でひるんでいる」と書いた。

ドイツのニュースサイトTオンラインのファビアン・ラインボルト米国特派員は、「1つの場面、4つの視点。1.メルケル陣営 2.マクロン陣営 3.コンテ陣営 4.トランプ陣営」とツイートし、同じ瞬間でも色々な切り取り方があったことを指摘した。

強烈なボディーランゲージによる表現も、大勢の目を引いた。

アイスランドのバンド「エージェント・フレスコ」のアルノー・ダンさんは「この写真は芸術作品だ。タイトルは『ボディーランゲージ』」とツイートした。

いったいどういう会話が交わされていたのか、面白おかしく想像する人も大勢いた。たとえば、ジョシュ・ジョーダンさんはこう書いた。

「メルケル: 私が『関税は悪い』と言ってそっちの足を踏んだら、にっこり笑ってうなずくのよ。

トランプ: わかった!

メルケル:(トランプの足を踏みながら) 関税は消費者の負担となり、全ての国の経済を痛めつける。

トランプ:(反応せず、やがて安倍にささやく) ほら、なんか言われてるよ」

(英語記事 Trump at G7: Who's who in Merkel's photo?

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