サッカー・ロシアW杯 「前例なき」警備、露が約束

スティーブ・ローゼンバーグ BBCニュース(カリーニングラード)

ロシアの特殊部隊は、12会場に対して行われる可能性のある攻撃に対応するため訓練を受けてきた
Image caption ロシアの特殊部隊は、12会場に対して行われる可能性のある攻撃に対応するため訓練を受けてきた

ロシア・カリーニングラードにある監視センターでは、監視チームが街全体に目を光らせ続けている。

職員はコンピューターの前に座り、700台以上の監視カメラから届く画像を検討している。これとは別に、カリーニングラード・スタジアムにも1200台の監視カメラが設置されている。同スタジアムでは28日にイングランド対ベルギー戦が行われる予定だ。

最新の顔認識技術を使い、監視カメラに捉えられた人は数秒で自動的に警察のデータベースと照合される。同様の警備システムは、W杯の試合会場となるほかの都市でも機能している。

「対テロにおいて、このシステムは疑わしい個人を見つけるのに役立つだろう」とカリーニングラード州政府のセルゲイ・エブスティグニイフ氏は語る。「システムは、警察が疑わしい個人の行動を監視し、どんな状況にも対応することを可能にする」。

しかし、監視カメラは警備の第1防衛線に過ぎない。

カリーニングラードでは、地元の警備部隊がW杯期間中に起こる可能性のあるテロ攻撃に対応するため訓練を受けている。

ある訓練では、選抜部隊「スペツナズ」が、人質がとられた事態を想定し、対処のためにサッカー場へパラシュートで降下した。

ロシアの国内治安機関、ロシア連邦保安庁(FSB)が公開した印象的な動画には、特別部隊がカラシニコフ銃を装備し、試合会場を守るため戦っている様子が映されていた。

シリアで実施した、テロリストを対象にした軍事作戦で、ロシアはやり方を学んでいる。

ここ数週間、過激派組織「イスラム国」(IS)に共鳴する勢力が、W杯を脅かすとの主張をインターネット上で繰り広げている。

脅迫は人々を不安に陥れているかもしれないが、ロシア当局は万全の対策をとっている。当局は警備を強化するため、陸軍、海軍、空軍を配備した。

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Image caption 大会に参加する32チームにも24時間体制の警備が必要だ

FSBはカリーニングラードやサンクトペテルスブルクなど複数の開催都市で、テロ組織を発見してきたと主張している。この発見で多くの逮捕者が出た。

警備専門家のパベル・フェルゲンハウアー氏は、「ロシアFSBは、人権をあまり気にしていない」と考えている。

「FSBは、潜在的な脅威と考える人物は誰であっても出歩かせないようにする。脅威とみなした者は、たとえ無実かもしれなくても拘束し、刑務所のこともある。FSBは、1人のテロリストを成功させるよりは、路上にいる無実の人10人を捕まえるほうが良いと考えているようだ」

安全が脅かされる可能性のある場所はかなりある。スタジアムやトレーニング場、ファンが集まる場所だけではなく、ショッピングセンターから広場、公共交通施設まで、人が集まる公共の場所全てを守ろうとしている。

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Image caption W杯期間中、ピッチへの侵入者は警備員によって簡単に対処されてしまうはずだ

「路上のどこかで起こるナイフによる攻撃を防ぐのはとても難しい」とフェルゲンハウアー氏は説明する。「もしくは、誰かが車を盗んで、歩行者を引くのを止めることも。モスクワやサンクトペテルスブルクのような大都市には弱点もある。これらの都市の地下鉄網は、以前から攻撃を受けてきた」。

「100%の安全」といったことは有り得ないとロシアは分かっている。だが当局者は、大会が無事に終わるだろうと自信を見せる。

「私を信じて。我々がとっている警備対策は前例のないものだ」とW杯の警備主任、アレクセイ・ラブリシュチェフ氏は私に断言する。

「警備対策は、このような行事を警備してきた我々の経験に加え、国際的な経験も基盤になっている。サッカーファン、旅行者、ロシア市民が快適で安全だと感じることを保証する十分な対策がとられている」

ロシアのW杯開催都市 カザンからエカテリンブルクまで

BBCモニタリング

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  • 1&2モスクワ(ルニキ・スタジアムとスパルタク・スタジアム)――ロシアの首都にある凝った装飾の地下鉄駅には、目が見えない乗客を対象にした特別な放送システムがある。都市中心部に向かう電車については男性の声で、郊外に向かう電車については女性の声で案内される
  • 3ニー・ノブゴロド―― 歴史ある貿易センターは「重要なインフラ」のため一時閉鎖され無人となった
  • 4サランスク:ロシアW杯の開催都市では一番小さい。結婚予定のカップルは、大会が終了するまで結婚式を延期する予定
  • 5:カザン―― ロシア第3の商業都市として知られる。旅行者には、騎士の鎧を着てサッカーをする機会を提供される予定
  • 6:サマラ―― ジグリョウブコエというビールで有名。有名なバー「ナ・ドニュ」(どん底)で試飲できるかもしれない
  • 7:エカテリンブルク―― ロシアで4番目に大きい都市。「鉄のサッカーチーム」FCウラル・スベルドロフスク・オブラストが本拠を置く
  • 8:サンクトペテルスブルク―― 湿原に築かれたロシア第2の都市。ウラジーミル・プーチン大統領を含む、国を支配してきた上層部の多くはここが故郷だ
  • 9カリーニングラード――ドイツの哲学者イマニュエル・カントはこの都市の名誉市民だ。世界の琥珀の90%はここで生産されているという
  • 10ボルゴグラード―― 第2次世界大戦でスターリングラードの戦いの舞台となった。ここで生産されるマスタードオイルは、旅行者のお土産として人気がある
  • 11ロストフ・オン・ドン―― この町の一部地域では大会中、バスが迂回するため、地元住民はバスなしで暮らしていかなければならない
  • 12ソチ―― 欧州で最も長い都市の1つ。範囲は黒海沿岸148キロに及んでいる

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(英語記事 World Cup 2018: Russia promises 'unprecedented' security

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