アイスマンの最後の晩餐が明らかに 栄養満点だが味は?

ヘレン・ブリッグス、BBCニュース

Iceman Image copyright Southtyrolarchaeologymuseum\Eurac\M.Samadelli
Image caption アイスマンの腹部を調べる科学者

ヤギの脂肪と野生のシカ肉、古代の穀物とシダ類。「マスターシェフ(BBCの料理番組)」に出てくるようなメニューではないが、我々の祖先にとっては栄養満点のごちそうだった。

科学者たちは「アイスマン」の最後の食事がバランスは取れているものの、とても脂質が高いものだったことを明らかにした。

アイスマンは5300年前、氷河の中で死亡してミイラとなった。1991年に発見されるまでの数千年間、アイスマンの遺体は氷の中で保存されていた。

科学者らはアイスマンが最後にした食事など、彼の生活をさまざまな側面から解明している。

研究によると、アイスマンの胃は野生のヤギの脂肪、アカシカの肉、ヒトツブコムギと呼ばれる古代の穀物、そして毒性のあるシダで満たされていた。

脂質の量は?

この食事の脂質は50%と、現代の平均的な食事の10%を大きく上回っていた。

イタリア北部ボルザーノにあるユーラック・リサーチ・ミイラ研究所のフランク・マイクスナー博士は、「アイスマンが狩りをしていた緯度を考えれば、こうしたエネルギー供給が必要だ」と指摘する。

「最善の方法は脂肪を食べること。これによって苛酷な環境で生き延びるのに必要なエネルギーが得られる」

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Image caption アイスマンは矢を受けて死亡したと考えられている

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この発見から分かることは?

生物学の学術誌「カレント・バイオロジー」で発表されたこの研究では、青銅器時代の食生活を垣間見ることができる。

アイスマンの食べ物については以前にも分析が行われたが、これほど詳細ではなかった。最新の調査はアイスマンの胃の残留物を調べた。

驚くべきことに、アイスマンの胃はミイラ化の過程で通常とは別の場所に移動しており、彼の胃が発見されたのは今回が初めてだだった。

科学者らは、アイスマンの胃に残っていた脂質が乳製品由来ではなく、アルプス山脈に棲むアルプスアイベックスというヤギに由来するものだと突き止めた」

マイクスナー博士は、「アイスマンの食生活は炭水化物とたんぱく質、脂質をバランスよく組み合わせたものだったし、彼が高脂質の食べ物を摂取していたことは大きな驚きだった」と語った。

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Image caption 新たなスキャン検査によってアイスマンの胃が発見された

栄養満点、でも味は?

この食事はアイスマンの雪の行軍を助けたかもしれないが、そこまで美味しくはなかったかもしれない。

「ヤギの脂肪がどのような味がするか、想像するのは難しい」とマイクスナー博士は語った。「現代で食べられるものほど美味しくなかったことは確かだ」

「塩がなかったことも考えると、肉だけ脂肪だけの純粋な味は、すべての成分を考えても食べられるものではなかったと思う」

アイスマンは加工食品からの害はなかった一方、彼の食生活には悪い側面もあった。

アイスマンは死亡時にすでに動脈硬化の兆候が出ていた。

アイスマンは体に複数の傷があり、銅製の斧を含む武器を持っていたことから、戦闘で死んだと考えられている。

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Image caption アイスマンの胃から発見された脂質の調査

アイスマンは薬草を食べていた?

科学者はまた、アイスマンの胃からシダの一種を発見しており、アイスマンが薬草を摂取していた可能性が指摘されている。

あるいはシダの葉で食べ物を包んでいたため、間違えて毒性のある胞子を食べてしまったのかもしれない。

また、シカの肉は生で食べていたか、乾燥させたものだったと考えられている。

(英語記事 Iceman's last meal was high fat feast

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