マンデラ氏生誕100年記念講演 オバマ氏が語った5つのこと

米国の元大統領がマンデラ記念講演を行ったのはクリントン氏以来 Image copyright Reuters
Image caption 米国の元大統領がマンデラ記念講演を行ったのはクリントン氏以来

バラク・オバマ前米大統領は17日、退任以来最も注目が集った演説で、「独裁的な政治」や事実を軽んじる政治家たちを強く批判した。

現実とは異なる内容をあたかも真実のように主張する「オルタナティブ・ファクト(代わりの真実)」と呼ばれる手法を、米国の現政権が使うのを、オバマ氏が批判していることは明白だった。

オバマ大統領が南アフリカ・ヨハネスブルクで行った、ネルソン・マンデラ元大統領の生誕100年を記念する講演には約1万5000人の聴衆が詰めかけ、世界のメディアが報道した。

以下に講演の主な内容を紹介する。


1.事実はないがしろにできない

「事実が信用できなくてはいけない」とオバマ氏は語った。「事実が存在しなくては、協力の土台もなくなる」。

「もし、この演壇をあなたがゾウだと言うなら、私たちが協力するのは困難になる」

オバマ氏は、ドナルド・トランプ米大統領が脱退を表明している地球温暖化対策のパリ協定の反対者たちとも、議論が事実に基づいているなら、合意点を見出すことができると語った。

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Image caption トランプ大統領の就任式に関連した議論でホワイトハウス幹部が「オルタナティブ・ファクト」という言葉を使用した

一方で、オバマ氏はこうも付け加えた。「世界中の科学者のほぼ全員が言っているのに、気候変動は起きていないと、もし誰かが主張するなら、合意点は見つけられない。もしこれが周到に作り出されたうそだというなら、どこから手をつければいいのだろうか」。

トランプ大統領は、気候変動は起きていないと思う、と述べている。

オバマ大統領はさらに、「うそをついたことがばれたら(政治家たちは)「あーあ、なんだよ」と言ったが、今では、うそをただつき続ける」と指摘した。

2.移民は力になる

オバマ氏は、平等を追求することで、国民すべての才能やエネルギーを活用できる社会になると語った。

「サッカーのフランス代表を見てみるといい」とオバマ大統領が言うと、聴衆からは大きな歓声が上がった。数日前には、ロシアで開催されたワールドカップ決勝でフランスが優勝している。

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Image caption フランス代表23人のうち14人はアフリカのチームへの出場資格がある

オバマ氏は、米国や南アフリカで人種差別が存在し続けているのは「単純明白な事実」だと述べた。

3.大企業幹部は「一般市民から隔絶されている」

オバマ氏は、世界のエリートたちが貧しい人々の生活を知らな過ぎると指摘した。「ビジネスの取引で、多くの産業界の巨人たちは(中略)国民国家との結びつきを失いつつある」とオバマ氏は述べた。

「彼らの生活が一般市民からより隔絶された状態になりつある」ため、「工場の閉鎖」を決めることは単に、株主たちの要求に対する「合理的な反応」になっていると、オバマ氏は語った。

4.民主主義万歳!

「恐怖と怒りの政治」を手段にする政治家たちが「ほんの数年前には想像もできなかった速さで」増えている、とオバマ氏は警告。民主主義は雑然としているが、「独裁の効率の良さは偽りの期待」だと述べた。

「世界中の政府だけに注目するのはもうやめるべきで(中略)世界の草の根運動に目を向けるべきだ。民主主義はそこから生まれる」

ポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭や「独裁的な政治」に注意するよう訴えたオバマ氏は、リベラルな民主主義こそが人類により良い将来を約束すると擁護した。

世界の未来には「ネルソン・マンデラのビジョンが必要だと信じている」とオバマ氏は語った。「あのような理念の下で世界が統治されるのは可能だと信じている」。

「平和をもっと実現し、公益を追求するためにもっと協力することができる」

「我々は前進する以外に選択肢はない。(中略)動かぬ証拠があると思う。リベラルで進歩的な理想だと我々が思っているものに最も近づいている社会が、最も繁栄し成功しているのが事実だ」

「状況は後退するするかもしれないが、最終的には、正義が勝つ(right makes might)。その反対ではない」(編注:力は正義、を意味する慣用句「might makes right」を念頭を置いている)

5.希望を失わない

オバマ氏は講演の最後に、「信じ続けること、前進し続けること、築き続けること、声を上げ続けること。世代は皆それぞれ世界を刷新する機会が与えられている」と語り、前向きなトーンで締めくくった。

大きな歓声の中、講演を聞いている若者たちに「情熱を燃やす」よう呼びかけた。

「一人の指導者だけが必要なわけではない。(中略)一番不足しているのは、共同的精神だ」

「マンデラ氏は、若者たちが目覚めれば、圧制の塔を打ち倒し自由の旗を掲げる力があると言った」とオバマ氏は指摘し、「今こそ目覚めるときだ」と呼びかけた。

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Image caption 今年のネルソン・マンデラ記念講演には約1万5000人の聴衆が集まったとされる

オバマ氏の講演は、2013年に95歳で死去した南アフリカのマンデラ元大統領の生誕100年を記念する行事の一環として行われた。

オバマ氏もマンデラ氏と同様、自国で史上初の黒人大統領に就任している。

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オバマ氏は、自分も「ネルソン・マンデラ氏から勇気を与えられた無数の人々の一人」だと語った。

マンデラ氏は、少数の白人が大多数の黒人を支配する、かつての南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)への抵抗運動を主導し、27年間獄中にあった。解放後の1994年には、同国で初めて民主的な選挙で選ばれた大統領に就任した。

反アパルトヘイト運動が「我々一人ひとりの心に火をつけた闘争」だったと振り返ったオバマ氏は当時、在学していた米カリフォルニア州のオクシデンタル大学に対し、南アフリカへの投資をやめるよう大学の評議委員会に求めた

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Image caption オバマ氏は南アフリカ訪問前にケニアで自分の親族と会った

(英語記事 Mandela lecture: Five things Barack Obama said

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