ユージェニー英王女、「傷跡を見せるウェディングドレスが着たかった」
ジェリー・ホルト、ケセワア・ブラウン、BBCニュース

ウェディングドレス。
多くの花嫁にとって、記念すべき日に何を着るかを決めるのはとても重要だ。
アイボリーか、純白か。Aラインか、マーメイドか。すそは長いか、短いか。タイトなラインか、ふわっとしたものか。
しかし、12日に結婚式を挙げた英国のユージェニー王女(28)には、もう一つ重要な要素があった。
エリザベス女王の孫に当たるユージェニー王女は12歳の時、脊柱側弯(そくわん)症の治療で背中に大きな手術をしたのだ。
16年たった今、王女はその手術跡が見えるドレスを選んだ。自分を助けてくれた人たちに敬意を示し、脊柱側弯症を患っている他の人たちに勇気を与えたいと願っていると話した。
「美しさの定義は変えられると思う」
結婚式の前、王女は「人に自分の傷」を見せることの重要性について語っていた。
ユージェニー王女は今年6月30日、子どものころに側弯症の治療を受けた際のレントゲン写真を初めて公開した。
王女はインスタグラムに「国際脊柱側弯症デーのきょう、初めて私のレントゲン写真をシェアできることを誇りに思います。そしてたゆまず命を救い、治療を行っている王立整形外科病院のすばらしいスタッフに敬意を表します。彼らは私の病気を治してくれましたし、再開発援助を支援できることを嬉しく思います」とつづった。
さらに英ITVの番組「ディス・モーニング」では、「12歳の時に背中に手術をしました。12日に(結婚式で)目にすると思います。私の世話をしてくれた人たちに敬意を示すための素敵な方法だし、同じ経験をしている若い人たちを擁護するための1つの方法でもあります」と語った。
「美しさの定義は変えられると思うし、傷跡を見せることだってできる。そのために立ち上がるって、本当に特別なことだと思います」
脊柱側弯症とは? なぜ若い女性がかかりやすいのか?
脊柱側弯症は、脊柱が片側へ弯曲する病気で、背中が丸く、肩甲骨が飛び出たようになる。
症状の多くは、10〜15歳ごろに出始めるが、原因不明である場合が多い。胎児の時に背骨がきちんと形成されなかったり、脳性まひなどの疾患が原因であったりする場合もある。
子ども1000人中3〜4人が専門医の治療を要する。
英国脊柱側弯症協会によると、思春期特発性側弯症の6人に5人が女性だが、理由は分かっていないという。
ユージェニー王女の場合、矯正手術が必要だったため王立整形外科病院で手術を受けた。
王女は以前、手術の数週間前にどんな思いだったかを話したことがあった。「12歳にとっては恐ろしい展望」で、「いまだに、どれほど緊張していたか鮮明に思い出せる」と話していた。
「8時間かかった手術で執刀医は、20センチほどのチタン製の棒を脊柱の両脇に入れ、首の上のところを4センチ弱のねじ数個で止めました。3日間の集中治療の後、病室で1週間、それから車椅子で6日間過ごしましたが、その後は再び歩いていました」と、王女は王立整形外科病院のウェブサイトに体験談を寄せている。
「30歳までに車椅子生活になると思っていた」
教育実習生のカミラ・セキンさんも、同じ病院で脊柱側弯症の手術を受けた。
「本当に怖かったし、手術することを心から否定していました。でも受けなければいけないものだと分かっていました」
「この時点で私の背中は72度弯曲していて、予後は30歳になるまでに車椅子生活になるというものでした」
「自分の外見についてとても自信がなかったけど、今は自信を持てるし、この病気を恥だとは思っていません」
カミラさんは、患者に声を上げるよう励ます。「そうしないととても孤独になりえるので」。
「同じ手術を受けた人たちのネットワークを築くことが、私にとってとても助けになりました。この症状でも、できることはたくさんあります」
「ユージェニー王女は患者を励ますことができる」
王女の手術をしたチームの一員だった脊柱外科医のジャン・レホフスキー医師は、「脊柱側弯症の患者のほとんどが若い女の子で、王女はその子たちにとって本物のお手本です」と話した。
「王女は、その子たちを励ますことができる人。手術を経験した若い女性にとってはとても大切なことです」