何かを見つめるサル――野生生物写真コンテストで最優秀賞に

ジョナサン・エイモス、BBC科学担当編集委員

Image copyright Marsel van Oosten / WPY

2頭のキンシコウが、石の上で休みながら懸命に遠くを見つめている姿がとらえられた。何を見て、何を考えているのだろうか?

2頭は、群れの仲間が大げんかするのを眺めていた。

目に見える静寂と喧騒との対比をとらえたこの1枚は16日、英ロンドン自然史博物館主催の野生生物写真コンテスト(WPY)で今年の最優秀作品に選ばれた。同博物館で行われた祝賀会で発表された。

写真は、オランダのマーセル・ファン・オーステン氏が中国の秦嶺山脈で撮影した。

オーステン氏は、このサルの動態を理解し、行動を予測するために、群れを何日も追跡しなければならなかった。目指したのは、雄のキンシコウが背中にたくわえる美しい毛並みとその青い顔を、1枚の写真に収めることだ。

オーステン氏の粘り強さによって、後ろに小さな雌が入ったこの見事な構成が最終的に実現した。

WPYの最優秀作品は時にこれ見よがしだったり衝撃的だったりするが、この作品はそうではない。しかし興味を引きつけて離さない何かがあると、WPYの審査員長ロズ・キッドマン・コックス氏は話す。

「応募作品を見ていた際、私たちは何度もこの作品に立ち返ってしまった」。キッドマン・コックス氏はこう振り返る。「まるで舞台のセットのようだ。色彩と光のせいだと思う」。

「キンシコウは通常、木の中で食事をとるが、オーステン氏はどういうわけか地面にいる姿をとらえるのに成功した。そしてあの素晴らしい体毛を照らし出すために、非常に柔らかなフラッシュを慎重に使った」

ゆったりと横たわるヒョウ、スカイ・ミーカー

Image copyright Skye Meaker / WPY

今年のジュニア部門で最優秀賞に輝いたのは、南アフリカのスカイ・ミーカー氏(16)だ。ボツワナのマシャツ動物保護区で、まどろむヒョウの姿をとらえた。

このヒョウは「マトジャ」と名前が付けられている。バントゥー語で「一つ脚で歩くもの」という意味だ。マトジャは幼少期に脚の骨を折ってしまったのだ。

マトジャは生き延びるが、そのためには必死に戦わなければいけないのだとミーカー氏は話す。というのも、他の大型ネコ科動物のように、死んだ獲物を木の上に運んで食べることができないからだ。つまり、捕まえた獲物を狙うハイエナがいる地上で食べなければいけない。

「この1枚を撮るために、数時間待った。目を開けているマトジャが撮りたかったが、このほんの数分だけ、目を開けてくれた。マトジャはまっすぐこちらを見た」

ミーカー氏は、ジュニア部門の他に15〜17歳部門でも受賞している。

キッドマン・コックス氏は、ミーカー氏は将来有望だと話す。「丸太に乗っているヒョウはこれまで十分見てきた、ごくありふれたものだ。しかし彼の作品は何かが違う。これもまた、光が理由だと思う。まだら模様になった背後の緑。それからヒョウの顔の表情も」

他部門の最優秀作品の一部を以下に紹介しよう。

パイプの中のフクロウ、アルシュディープ・シン

Image copyright Arshdeep Singh / WPY

10歳以下部門:この作品もまた、若者が撮影した。アルシュディープ・シンくんは、インドのパンジャブ州カプールタラー郊外で撮った写真で、この部門の最優秀賞に獲得した。「この管の中にフクロウが飛んで行くのを見たので、お父さんにそう言った。お父さんはありえないと言ったけど、車を止めてくれた。フクロウが出てくるまで20〜30分待たなきゃいけなかったけど、その時にこの写真を撮った」と説明する。

アザラシのベッド、クリストバル・セラーノ

Image copyright Cristobal Serrano / WPY

生息環境にいる動物部門:スペインのクリストバル・セラーノ氏は、南極半島の沖合いに浮かぶ氷盤の上で休んでいるカニクイアザラシを撮影した。アザラシは海氷と密接な関係がある。というのも、アザラシの生息地である海氷は、小さな甲殻類のオキアミに住みかと食料(藻)を提供し、オキアミはカニクイアザラシにとって主要な食料源となるためだ。

泥を転がすドロバチジョージーナ・ステイトラー

Image copyright Georgina Steytler / WPY

習性、無脊椎動物部門:ジョージーナ・ステイトラー氏は、ドロバチの写真を西オーストラリア州のウォルヨーモリング自然保護区で、ハチが飛ぶ低い位置まで屈んで撮影した。泥の中で。「望遠レンズを持って泥の中に入り、何枚も撮った。泥玉を持っているハチを1匹撮りたかったので、2匹撮れたのは信じられない。運によるのだけど、ちょうどいい時にちょうどいい場所でちょうどいい機材を持っていなければいけない」。ドロバチは、泥の玉を使って巣を作り、その巣の中で、まひ状態にあるクモの体に卵を産み付ける。

夜間飛行、マイケル・パトリック・オニール

Image copyright Michael Patrick O'Neill / WPY

水中部門:米国の写真家マイケル・パトリック・オニール氏は、トビウオの姿を捉えた。フロリダ州南東部のパームビーチ沖での夜間ダイビング中に撮影したものだ。トビウオは日中、非常に臆病なのだが、夜になると近づきやすくなる。オニール氏は、まるで別世界にいるかのようなトビウオのこの姿を撮るため、さまざまなカメラと光の設定を試した。

悲しいピエロ、フアン・デ・ラ・マラ

Image copyright Joan de la Malla / WPY

野生生物報道写真部門:路上にいるサルのこの衝撃的な写真は、インドネシアのジャワ島で、フアン・デ・ラ・マラ氏が撮影したものだ。ピエロのマスクを無理やり付けられているのは、マカクという種類のサルだ。「痛々しい写真で、マカクはマスクを外そうと顔に手をやっている」とマラ氏は話す。スペイン出身のマラ氏は動物愛護団体と協力し、このような路上パフォーマンスを廃止させようと活動している。ここ数週間で成果が実り、ティンブルという名で知られていたこのマカクも野生に戻される予定だ。

守る母、ハビエル・アスナル・ゴンザレス・デ・ルエダ

Image copyright Javier Aznar González de Rueda / WPY

野生生物写真家ポートフォリオ部門:同じくスペインの写真家ハビエル・アスナル・ゴンザレス・デ・ルエダ氏は、複数の連射写真をエントリーしており、この1枚はアルキズメという種類のツノゼミをとらえたものだ。エクアドルのエル・ハルディン・デ・ロス・スエニョス保護区で撮影したこの写真には、母親が幼虫を守る姿が写っている。ツノゼミはナス属の葉の下に卵を産み、それを薄い分泌物で覆う。卵がかえると、大きさ、色、模様が異なる5つの幼虫段階を経て成長する。

がむしゃら、デビッド・ヘラシムチャック

Image copyright David Herasimtschuk / WPY

習性、両生類および爬虫類部門:北米最大の水生有尾類アメリカオオサンショウウオが水棲のヘビをくわえている姿は、テネシー州のテリコ川で撮影された。デビッド・ヘラシムチャック氏によると、蛇はアメリカオオサンショウウオと格闘した後、結局、逃げることができたという。

風の力、オーランド・フェルナンデス・ミランダ

Image copyright Orlando Fernandez Miranda / WPY

地球環境部門:ナミビアの砂漠スケルトン・コーストでは、風が作り出した砂の小山が、打ち寄せる大西洋の波と1つになる。よく見ると、アフリカのこの地域によく現れる霧がかかっているのが分かる。霧は内陸へ移動し、植物や昆虫の生命維持に欠かせない湿気をもたらす。

WPYは、この類の写真の世界において、世界有数のコンテストだ。

1964年に始まり、現在はロンドン自然史博物館が主催している。

最優秀作品の数々は、サウスケンジントンにある同博物館で19日に始まる展示会で見ることができる。

来年のコンテストへのエントリーは22日から受付開始。

(英語記事 Gazing monkeys photo wins top prize

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