【米中間選挙】SNSに「今のところ」安心感、大手各社の偽情報対策で

デイブ・リー BBC北米テクノロジー担当記者

Facebook's 'war room' Image copyright Getty Images

米国における前回の国政選挙、2016年の米大統領選は、ソーシャルメディア各社にとってまさに最大の惨事に他ならなかった。

連邦議会での公聴会が何度も開かれ、大きな懸念が残った。フェイスブックやツイッター、他のソーシャルメディア企業は、中間選挙で公正さを守れるのか?

だが、選挙期間が終わりに近づくにつれ、シリコンバレーには良い知らせが届き始めた。対応策のほとんどが効果を挙げ、選挙に影響を与えようとした組織的活動の効果は限定された。投票に行く人を減らそうとする試みは、発生源から食い止められた。

しかし、これは第一段階に過ぎないと考えるべきだ。専門家はこの任務が、まだ始まりに過ぎないかもしれないと警告する。

「選挙が終わり、不正だとかハッキングされたといった主張が投票者から上がり始めた後に本当の動きがあると、私はいまだに確信している」とセキュリティー推進団体「Alliance to Secure Democracy(ASD)」のブレット・シェイファー氏は指摘した。ASDは政治的宣伝をする「ボット」(自動投稿のSNSアカウント)の行動を追跡するツールを運用している。

フェイスブックでセキュリティー部門を主導していたアレックス・スタモス氏はBBCに対し、選挙結果に影響を及ぼそうとする者は、結果の統一性を損なわせるために投票日の次の日から偽情報を意欲的に広めようとするだろうと話した。

削除されたアカウント

複数国の規制当局が厳しく監視する中、次の選挙の結末が必要以上にソーシャルメディアの影響を受けたものだった場合、大手企業には恐ろしいことになる。ソーシャルメディア大手は当初、心配はないとしていたものの、現在は各企業とも自社技術の悪用への対応が遅すぎたと認めている。

フェイスブックは5日、「不正な」行動を示した115のアカウントを削除したと発表した。この「不正」という言葉は、フェイスブックでは偽アカウントか政治的宣伝アカウントに使われている。削除されたうち30アカウントはフェイスブック上のアカウントで、残りの85アカウントは同社が所有する画像共有サイト、インスタグラムから削除された。フェイスブックはアカウントについて、米法執行当局から指摘があったと述べた。

フェイスブックは現地時間6日昼、BBCに対し「今のところ、予期していなかった事態は起きていない」と述べた。

これに先立ちツイッターは、米民主党選挙運動委員会からの通報を受け、同社のプラットフォームから1万のボットアカウントを削除したと明かした。これらのアカウントはハッシュタグを用いた組織的な運動に参加しており、利用者に投票へいかないよう説得しようとしていた。使われていたハッシュタグは、女性に最終的な選択権を持たせるために、男性は投票に行くべきではないと主張していた。後に「運動」だと判明したこのハッシュタグは元々、極右のいわゆる「オルト・ライト」の人々がよく利用する掲示板上に登場したものだった。米NBCニュースの驚くべき報道によると、ソーシャルネットワーク上では、投票日が6日でなく7日だと誤情報を周知する取り組みもあり、このやり方はツイッターの管理担当者やアルゴリズムにより難しい対応を迫った可能性があるという。

米シンクタンクのアトランティック・カウンシルによる独自分析によると、中間選挙で投票しないよう男性に呼びかけるハッシュタグは、わずか5000人程度のツイッター利用者にしか使われなかった。あるいは5000という数字が非常に大きいものなのかもしれないが、ともかくツイッターはこのボットアカウント削除を、拡散力の強いツイートが利用者数百万人に素早く届く可能性がある同社プラットフォームにおける際立った成功と考えるだろう。

表示されなくなった「ボット」

しかし、いくつかの誤情報は見過ごされた。

誤解を招く編集をされた動画が4000回以上リツイートされたのが一例だ。この動画は、有名なニュース司会者が笑顔を見せる動画と、燃えている国旗の画像を組み合わせて制作された。ただこの動画は、発見されたあとすぐにツイッター上から閲覧できなくなった。

ボットの行動はプラットフォーム上に表示されなくなったほか、ある不正行動の監視業者によると、先月からここ最近の数日でボット自体が活動を停止している例もあるという。

米テキサス州を大きく二分し激しく争った共和党のテッド・クルーズ上院議員と民主党の新星ベト・オローク候補の選挙戦では、それぞれの候補についてのソーシャルメディア投稿のうちボットによるものは15パーセントから16パーセントに過ぎなかった。

ボット追跡ツール「botcheck.me」の開発企業RobHatのマックス・ジェンキンス=ゴーツ氏は、「テキサス州でボットの行動が低調だったことについてありうる説明の1つは、選挙戦への注目から、オーガニック・ツイート(人間によるツイート)が多くなり、相対的にボットによる行動の比率が下がったというものだ」と語った。

特に接戦となったジョージア州やミシガン州では、ボットアカウントが人間が運用するアカウントの見方を拡散した形跡はみられるものの、ほとんどのアカウントは誤情報の拡散には至らなかった。実際、別の監視ツール「BotSentinel」によると、選挙期間中にボットが最も良く使った言葉は、「MAGA(『アメリカを再び偉大に』の略語)」、「vote red(共産党に投票を)」、「God Bless(神の祝福あれ)」といったものだった。

米国土安全保障省(DHS)は、選挙の安全に関する様々な事象を監視するため、「状況認識」室と呼ばれる部署を設置した。監視対象の中には、誤情報拡散の取り組みや選挙を支える仕組みの公正性が含まれる。選挙の仕組みをめぐっては多くの人が、電子投票に使う機械が全く安全ではないと指摘している。

DHSはソーシャルメディア上で、「意図された誤情報」を発見したと述べた。ただしそれらは、運営企業により「迅速に処理された」という。

「わずかに」あるという投票用機器の問題についてDHSは、「技術的なあらゆる不具合と関連する悪意ある活動は何も観測されていない」とした。

(英語記事 Relief at social networks as defences hold - for now

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