日産、東芝、オリンパス…… 日本を揺るがせた5つの企業スキャンダル

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日産自動車のカルロス・ゴーン会長が金融商品取引法違反容疑で逮捕され明らかになったスキャンダルは、日本の経済界、「日本株式会社」を襲った初の危機というわけでは全くない。
ルノー、日産、三菱自動車の自動車大手3社による戦略的提携を代表するゴーン容疑者の容疑は、世界の自動車産業に極めて大きな影響を与える可能性がある。
しかし日本はここ数年、有名企業による多くのスキャンダルに取り組んできた。
以下に挙げるのは、最も代表的な事例だ――。
オリンパス事件
2011年10月、マイケル・ウッドフォード氏は、他の西洋人が誰もしなかったことを達成した。日本人以外で初めて、カメラ・電気製品の世界的大手、オリンパスの最高経営責任者(CEO)に就任したのだ。
2週間後、ウッドフォード氏は解任された。
オリンパスに30年間勤務してきたウッドフォード氏は、同社の大規模な不正会計処理を告発していたのだ。
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マイケル・ウッドフォード氏はオリンパスの不正会計を告発した
オリンパスは否定を続けていたものの、最終的に20年にわたり総額約17億ドル(約1919億円)相当の損失を隠していたと認めた。
オリンパスの取締役会メンバーは最終的に全員辞任したほか、同社は数千人規模の人員削減を強いられた。
ウッドフォード氏は解任が不当だと訴えを起こし、1000万ポンド(約14億4370万円)の和解金を得た。
東芝の不正会計
東芝が2015年、事業で得た利益を1500億円以上水増ししていたと明らかにしたことで、日本企業におけるコーポレート・ガバナンスの問題は再び注目を浴びた。
他分野に事業展開する複合企業である東芝に起きた不正会計スキャンダルを受け、日本の麻生太郎財務相は、国全体の評判に広く関わると指摘した。
麻生財務相は「(日本が)本当の意味でのコーポレートガバナンスをやっておかないと、日本のマーケットや東京証券取引所の信頼性を失いかねない」と述べた。
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第三者委員会の報告書によると、東芝は、世界金融危機が襲った2008年から、不適切な会計慣行を始めていた。
報告書は、過大な収益目標を達成しなければならないとの圧力を同社の従業員が受けていたとした。
「東芝においては、上司の意向に逆らうことができないという企業風土が存在していた」と報告書は指摘した。
役員が辞任し、訴訟が起こされた。
しかし、東芝の経営危機は続いている。同社の米原子力子会社ウェスチングハウスは昨年、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用申請に追い込まれた。
ウェスチングハウスは今年1月、カナダの投資会社ブルックフィールド・ビジネス・パートナーズに46億ドル(約5200億円)で買収された。
タカタ製エアバッグに欠陥、関連事故で死者も
タカタは1933年に高田武三氏が創業した自動車部品の製造会社だった。
しかし2017年までに、創業者の孫にあたる高田重久社長(当時)の下、タカタは欠陥のあるエアバッグをめぐる国際スキャンダルに陥った。エアバッグの関連事故で多くの死者が出ているほか、負傷者は数百人に上っている。
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欠陥があったタカタ製エアバッグの一部は、膨張時に破裂した
タカタの問題が生まれたのは、同社が自動車用エアバッグの素早く膨張させるため、硝酸アンモニウムという化学物質を発火装置として使い始めたのがきっかけだった。
かなりの勢いで膨張したエアバッグの一部は、破裂して金属片を飛ばすことがあった。この金属片により運転手や乗っていた人が負傷。死亡例も出た。
タカタは総額数百万ドルに及ぶ法的な訴えを受け、エアバッグ数百万個のリコールを余儀なくされた。また、同社は民事再生法の申請にも追い込まれ、高田社長も辞任することとなった。
タカタは今年4月、米キー・セイフティー・システムズに全ての資産と事業を譲渡した。
神戸製鋼のデータ不正
日本第3位の製鉄企業、神戸製鋼は、世界中の自動車や航空機、船舶の製造会社に製品を供給している。それだけに、同社が直面した苦境は、広い範囲に影響を及ぼす可能性があった。
問題が明らかになったのは2017年10月。神戸製鋼の一部従業員が、顧客に発送前の一部製品について、品質関連のデータを変更したり、偽装したりしていた。
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神戸製鋼の川崎博也会長兼社長(当時)はこの不祥事で引責辞任した
神戸製鋼は700件近い「不正」を明らかにし、組織風土や法令順守意識をめぐる「根深い問題」を抱えているとした。ただ、納入先企業での検証では、安全性に問題があった製品は報告されていないという。
今年発表された同社のスキャンダルに関する調査報告書は、経営姿勢に収益性への偏重があり、コーポレート・ガバナンスが不十分だったとした。
神戸製鋼ではアルミ・銅事業部門の常務執行役員2人が、データに関する不正を認識していたにもかかわらず黙認し、最終的に事実上更迭された。
川崎博也会長兼社長も4月に辞任した。
日産の排ガス不正
独自動車大手のフォルクスワーゲンで起きた排ガス検査不正問題、いわゆる「ディーゼルゲート」のあと、日本でも排ガス不正が起きた。
日産は7月、日本で販売された乗用車について、一部の排出ガス・燃費測定試験で「定められた試験環境を逸脱」していたことを認めた。
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同社はまた、検査報告書が「測定値を書き換えて作成」されていたとも明かした。
日産は包括的な調査の実施を明言するとともに、同様の状況が二度と起きないようにする対策を取ると述べた。
このスキャンダルは日産の評判に打撃となったものの、検査の時だけ有害物質を減らす装置「ディフィート・デバイス」を搭載することで排気ガスの水準を偽装していたフォルクスワーゲンの問題とは大きく異なっている。