全豪優勝の大坂なおみ選手を「世界が称賛」

ラッセル・フラー、BBCテニス担当編集委員

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Image caption 全豪オープンで初優勝を飾り、優勝トロフィーにキスする大坂なおみ選手

昨年9月、米ニューヨークのルイ・アームストロング・スタジアムのコートの周りには悪意が立ち込めていたが、当時20歳だった大坂なおみ選手は自分を取り巻くその厳しい空気を遮断して、グランドスラムの初優勝を果たした。

それから4カ月後のオーストラリア・メルボルン。21歳になった日本のスターは、ずば抜けた回復力と精神力、そして度胸をまたしても示し、四大大会の連続優勝を実現した。

この場にセリーナ・ウィリアムズ選手は不在で、審判はいつもの脇役に戻った。それでも、決勝の第2セットで5-3とチャンピオンシップポイントを握りながらも、4ゲーム連続で奪われ逆転され、最終セットにもつれ込んだ厳しい試合に、大坂以外の多くの選手は調子を崩したはずだ。

しかし大坂選手は26日、チェコのペトラ・クヴィトワ選手に7-6(7-2)、5-7、6-4で勝利し、全豪オープン優勝を達成した。試合後には、「成長したのか、それとも自分の気持ちを切り離せるようになったのかはよく分からない」と述べた。

「色々なことに興奮したり動揺したりする人がいますよね。それは非常に人間的なことです。でも私はそういうことに自分のエネルギーを無駄遣いしたくないと、そう思うことがあります」

「今日の第3セットでは、文字通り自分の感情を消そうとしました。ぽっかり穴が空いたような感覚だった。ロボットみたいに」

「私は、命令の通りに動いていただけです。ある意味、私がこれまでの人生でずっと練習してきていたことを、実行に移していただけ」

同じことを別の人が言ったなら、不穏に聞こえかねない言葉だ。しかしスポーツ界では、優勝がかかる試合に臨む選手たちは、自分の感情をいかにシャットアウトするか、その能力を切望するものだ。自分が練習してきたプレイをはっきりと、そして自信をもって思い出せるように。

第2セットでクヴィトワ選手の劇的な反撃が始まる前までは、大坂選手の方がうわてだった。そして反撃されてなお、大坂は自分の方が強い選手だと証明した。

最も重要なタイミングで勝つコツを、大坂は瞬く間に磨き上げた。

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昨年3月のBNPパリバ・オープン(米カリフォルニア州インディアンウェルズ)では、大坂選手はマリア・シャラポワ選手(ロシア)、アグニエシュカ・ラドワンスカ選手(ポーランド)、カロリナ・プリスコヴァ選手(チェコ)、シモナ・ハレプ選手(ルーマニア)に勝利し、初のツアータイトルを獲得した。WTAツアーにこれ以上大きなイベントはない。そして、この次に獲得したタイトルは、どちらもグランドスラムだ。

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Image caption 大坂はBNPパリバ・オープンでの自分の優勝スピーチを「史上最悪の受賞スピーチ」と呼び、ファンの心をつかんだ(昨年3月、米カリフォルニア州インディアンウェルズ)

昨年1月の時点で大坂選手は世界ランキング72位だったが、それでも我々は、彼女がグランドスラムをいくつも優勝する可能性を秘めていると知っていた。だがその成功がこれほどあっという間に実現するとは、誰も予想していなかった。

いきなり注目されるようになり、いきなり期待がかかるようになると、優秀な選手の進歩が止まってしまうことがある。生来の恥ずかしがり屋でアイコンタクトが苦手な大坂選手は、マスコミの注目は自分の低いランキングに不釣合いだと以前は思っていた。

しかしランキング1位となった今、早くから注目を集めたことも、決してマイナスにはならなかった。

大坂選手は並外れて試合の立ち上がりが強い。2016年に行った60試合では、その全てで第1セットを獲得した。サーシャ・バイン・コーチの助けもあり、大坂はその爆発的なパワーに緩急を付けられるようになった。

全豪オープンの決勝前夜、バイン氏は「本当に最初から、大坂選手はビッグ・ヒッターだった」と振り返った。

「彼女にどうやって球を打つかなどは教える必要がなかった。どちらかというと、ただ強く打つ以外の選択肢があることを教えたに近い」

「球を打つ角度についても研究した。スライスなど、全てを少しずつ改善した。ほんの少しだけ成果を出して欲しかった」

2017年末の最初のトレーニング・セッションでバイン氏が足首をけがするなど、2人の関係の幸先はあまり良くなかった。

しかし、いまや2人が互いを尊敬し、大事に思っていることは明らかだ。バイン氏は、過去に大坂選手をわがままな「プリマドンナ」タイプの選手だと見誤っていたことを素直に認めている。大坂選手はバイン氏とすれ違うとき、いつもうつむいていたので。

一方の大坂選手は、バイン氏が過去にラリーの練習相手として雇われていたため、コーチが務まるとは思っていなかったと話している。

大坂選手は父親のレオナルド・フランソワ氏を「精神的な支柱」と説明している。非常に前向きな人柄で、娘の試合を見るのは好きではないが、勝てば飛び上がり、こぶしを振り上げて喜ぶという。大坂選手が気落ちしていれば、「おどけて」見せて彼女を元気付けようとする。

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Image caption 父レオナルド・フランソワ氏と優勝トロフィーの間で微笑む大坂なおみ選手、オーストラリア・メルボルンのロッカールームで撮影

大坂選手は今、世界を手にしたように見える。人生に驚きはつきものだが、彼女はこれからもたくさんのグランドスラムで優勝しそうだ。

ヴィクトリア・アザレンカ選手(ベラルーシ)が全豪オープンで初優勝したのは2012年、23歳の時だった。それ以降のアザレンカ選手は子宝に恵まれた一方、負傷や厳しい親権争いといった災難にも見舞われた。

大坂選手は、キャロライン・ウォズニアッキ選手(デンマーク、2010年)以来、最年少でランキング1位となった。そしていつもの控えめな態度ながら、将来の野心的なプランを描いている

「インディアンウェルズ・マスターズ(BNPパリバ・オープン)でも試合をしなくてはならない。もちろんここでも勝ちたいし、それからマイアミ・オープンでも勝ちたい」

「インディアンウェルズとマイアミを連続で勝てば、世界で一番優秀な選手と言える。それが次の目標」

「流れに乗っている気がする。ある意味それがずっと人生のモットーだったので」

(英語記事 'Champion Osaka has world at her feet'

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