米大寒波と気候変動の関係は 温暖化はどうなったのか

ジャスティン・ロウラット、BBCニュース

Chicago frozen lakeside Image copyright Getty Images

アメリカの3分の1が大寒波に見舞われている中、科学者たちは気候変動がどれくらいこの現象に影響を及ぼしているのかを調べている。

いったい地球温暖化はどうなったのか。

それこそ、ドナルド・トランプ米大統領が数日前のツイートで知りたがっていたことだ。

トランプ氏は1月29日、ツイッターに「美しいアメリカ中西部の体感気温がマイナス60度にもなって、史上最低を記録した。これから数日でさらに寒くなるようだ。人間は数分も外にいられない。いったい、地球温暖化はどうなったんだ? 戻ってきてくれ、必要なんだ!」と書き込んだ。

アメリカ中西部が寒い、すごく寒いのは疑いようがない。

国立気象局(NWS)は実に、「肉が凍って骨から外れる」ほどの寒さだと警告している。

アイオワ州のNWSも不用意に外出しないよう警告しており、もし外出するなら「深呼吸を避け、会話も最低限に」するよう呼びかけた。

こうした中、インターネットは雪と氷の画像であふれかえっている。

私のお気に入りはミシガン湖から凍った霧が立ち上がっている動画だ。そして何千人もの人が、熱湯を屋外にまく「ホットウオーター・チャレンジ」に挑戦している。

この男性は、「マイナス50度のシカゴでは熱湯が地面に落ちる前に雪になると聞いた」として、実際に屋外で試している。

しかし私にとっては、屋外で麺とフォークが凍っているこの超現実的な写真が優勝だ。

トランプ大統領は正しいのか?

ではこの厳しい寒波は、地球温暖化が後退している証拠なのだろうか。

残念ながら答えは「ノー」だ。トランプ氏のツイートに対しても、すぐに政府機関が返事をしている。

アメリカ海洋大気庁(NOAA)はツイッターに、「冬に嵐が発生しても、地球温暖化が起きていないという証明にはならない」と書き、海水温の上昇で蒸気が増え、寒波を引き起こす画像を掲載した。

NOAAがツイートした記事には、地球温暖化の進行によって激しい吹雪はむしろ増えるかもしれないという研究結果が示されている。

現在の大寒波の原因は、北極からの旋風「極渦(きょくうず)」によるものだと聞いている人もいるだろう。

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Image caption 凍てついたシカゴの湖畔を歩く男性

「極渦(きょくうず)」とは、毎年冬になると北極点に形成される巨大な空気の渦で、成層圏まで到達する。

北極の非常に冷たい空気を溜め込み、強く循環する風の壁に守られた渦のようなものだ。

米紙ニューヨーク・タイムズが、その仕組みの見事な図解を掲載している。

極渦が崩れると、北極圏外にもその冷たい空気が流れ出す。

それが、今年1月3日に起きたと考えられている。

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Image caption ウィスコンシン州の湖岸はまるで南極のようだ

極渦から流れ出した冷気はジェット気流の軌道を変える。ジェット気流は大気の低いところを流れる強力な気流で、この流れが南に大きく膨れる。

この膨れ上がったジェット気流が、今週アメリカに厳寒をもたらした。昨年、欧州に大寒波「東からの獣(the Beast from the East)」をもたらしたのもこのジェット気流だ。

大寒波と地球温暖化の関係は?

気象学界では、極渦の崩壊の頻度が上がっているかどうか、議論が盛んに行われている。

いくつかの研究はこの仮説を支持しており、その原因が気候変動だと疑っている研究者もいる。

米ウッズ・ホール研究センターで気候変動の影響と対策を研究しているジェニファー・フランシス氏は、北極海で氷が解けていることが極渦の変動に関係あると主張する。

ニューヨーク・タイムズの取材でフランシス氏は、北極圏にぽっかりとできた黒い海面は反射率の高い氷よりも多く熱を吸収し、それがホットスポットを生み出すと説明した。

このホットスポットが、気候変動によるジェット気流の変動と合わさり、極渦の崩壊を招いているという。

しかし、これは議論の余地のある話だ。英オックスフォード大学の気象物理学者ティム・ウリングス氏は、大きな変動が起こっているとは認めなかった。

ウリングス氏は、大気は「さまざまな要素が絡み合ったシステム」で、「こうした事象がより頻繁に起きているという確定的な証拠はない」と話した。

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天候」と「気候」

大事なのは、長期的に平均気温を観察することだ。

現在シカゴを襲っている厳しい寒さは「天候」であり、「気候」ではない。

簡単に言えば、天候はあなたの家の外で今起きていること、気候は数年にわたって起きることだ。

つまり、あなたが住んでいるところがとても寒くなってもなお、世界全体は温暖化しているということもありえる。

そしてウリングス氏は、世界が温暖化し続けていることは疑いようがないと語った。

シカゴが凍えている一方で、オーストラリアでは山火事が猛威を振るっているのだ。

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Image caption オーストラリア・タスマニアでは、民家の近くまで山火事が迫っている。写真は1月22日のもの

世界気象機関(WMO)によると、世界では過去22年間のうち20年間、史上最高気温を更新しており、2015~2018年がその上位4位を占めている。

その上でウリングス氏は、地球温暖化によってすでに北極の冬の平均気温が上がっていなければ、今週の気温は少なくとももう1度ほど低かったはずだと指摘する。アメリカ中西部で凍えている人にとっては、大して心温まる話ではないかもしれないが。

(英語記事 Whatever happened to global warming?

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