愛やロマンスより最適化? 最高の伴侶を見つけるには

ジャスティン・ロウラット、BBCニュース

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理想の夫や妻を見つけるには、どの方法が一番良いのだろう。

完璧な人生の伴侶の見つけ方について、世間は私たちにこう言う。愛が全てだ、本能に従え、要するに運命なのだと。

次に、仕事においてこれと同じようなアドバイスに従ったらどうなるか、考えてみよう。あるいは会社経営において。

市場調査をしたことがなく、長期的プランもなく、わざわざビジネスを勉強する気もないと投資家に伝えたらどうなるか、想像してみて。信頼してもらおうとしても、無理そうだ。

誰と結婚するかという選択は、間違いなく、人生で一番大事な決断なのに。

夫や妻というのは事実上、これからの人生のほとんど毎日、顔を合わせることになる相手だ。子供を持つなら、妻や夫との間に生まれる確率がかなり高い。実のところベッドも、休日も、お金も、家も、ほとんど全てのものを共有する相手だ。

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Image caption 世間は愛が芽生えたら本能に従えと言うけど、本当にそうすべきなのか?

だったら、もっと合理的なアプローチをした方が良いのではないか?

統計を見ると確かに、ほとんどの人の取り組み方は間違っている。イングランドとウェールズでは、結婚するカップルの42%が離婚するとされる。アメリカではこの数字はさらに高く、結婚する全カップルの実に約半数が離婚するのだ。

だからこそエド・コナードさんは20年前、結婚したいと思った際に、配偶者探しを「最適化」しなくてはならないと決心した。

コナードさんはとてつもない大資本家だ。かつて共和党の大統領候補だったミット・ロムニー上院議員と共同でベンチャー投資会社、ベインキャピタルを経営し、何百万ドルもの資産を築いた。

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Image caption 理想のパートナーをどうやって選ぶ?

現在のコナードさんは経済論評家で、爆発的なベストセラー「Unintended Consequences: Why Everything You've Been Told About the Economy Is Wrong(意図しない結果:なぜ経済について教わったことは全て間違っているのか)」の著者だ。

同氏は、自分が選んだプロセスを「選択の連続、後戻りできないもの」と呼んでいる。ロマンティック、だね?

どういう仕組みかというと、こういうことだ――。

その1、「調整」期間

まず、あなた自身の選択を「調整」することから始める。つまり、適切な相手にできるだけたくさん会うのだ。

網を広範囲に投げる。その一方で、欲望は忘れなければならない。愛情さえも、忘れる。性的欲求や愛情というのは「進化が我々に赤ん坊を作らせようとしているから」介在するのだと、コナードさんは注意を促す。

この時点では、まだ誰ともデートはしない。まずは、合格ラインに届きそうな人を集めている段階だ。クリアできる人はたぶん、そんなにいない。ほんの一握りか、せいぜい2人だろう。

有望な候補たちを確保したら、第2段階に移る。候補者の3分の1をランダムに選び、デートしてみよう。

コナードさんのルールでは、ここでデートする相手の誰とも結婚はしない。どんなに相手が魅力的でも、次の段階に移れるよう冷徹になる心構えが必要だ。

この期間中に最もふさわしい人があなたの選択を「調整」し、次の段階における基準値を決定する。

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Image caption 運命の相手に出会うには愛も欲望も忘れなければいけない?

その2、「評価」期間

次の段階を、コナードさんは「評価」期間と呼んでいる。実際に将来の配偶者を選ぶ時がやってきた。

ここでもまた、問題を簡単に解決できない場合は、パートナー候補をあっさり切り捨てなくてはならない。

「情け容赦ない態度が必要だ」と同氏は強調する。「この相手となら結婚してうまくいくと、強く確信できない相手は排除しないといけない」

そのための重要なルールは、コナードさんによるとこうだ。

「調整期間中に1番だった人よりもふさわしい人を見つけたら、その人と結婚する。最後まで誰も見つからない場合は、1番最後の人物と結婚する」

このプロセスに従うよう、同氏は主張する。こうして見つけた相手は、自分に見つけられるベストな結婚相手なのだと、統計が示しているのだそうだ。

これで完了だ。

相性が良ければ結婚は幸せ

ノーベル賞受賞者の経済学者アルヴィン・ロス教授によると、妻を選ぶためのコナード氏のアプローチは、新居など物の購入において確立された方法だと言えるが、配偶者は物ではないし、結婚というのは値踏みできない市場だと話す。

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Image caption スタンフォード大学のアルヴィン・ロス教授は過度な調整と評価をしないよう忠告する

米スタンフォード大学のロス教授は、価格をつけられないあらゆる種類のリソース(学校と学生、腎臓と患者、医者と病院)の需要と供給のバランスを取るという「マッチング(組み合わせ)理論」で2012年にノーベル経済学賞を受賞した。

教授は、大きな決断をする前には、それなりに多くのパートナーに会うのが大事だという意見には賛成している。「最初に会った人とそのまま結婚しないで」と。

期待を現実的なものに留めることも必要だ。

「結婚相談所の最初の役目は、依頼人に『あなたは10点満点ではない』と納得させることだ」

しかし教授は、調整と評価をやりすぎないよう注意する。パートナー選びは双方向の作業だ。あなたが結婚について真剣になって初めて、パートナー候補もあなたのことを真剣に考えるようになる。

「相性が良いかどうかは、2人のなれそめにも関係する。最初の出会いからこれは始まる。つまり、2人が一緒に過ごす時間に努力を注げば、2人の相性はそれだけ良くなる」

経済の比喩を使うなら、ある程度の資本を積み上げなくてはならないということだ。

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ところで愛情は?

確かにこれが気になるところだ。

数十の恋愛小説のベストセラー作家で英国ロマンス作家協会の代表でもあるニコラ・コーニックさんは、「少し冷たくて計算高くて、ロマンチックとは程遠い気がする」と批判的だ。

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Image caption 「一目ぼれの裏側では、理性的な判断も働いているはず」とコーニックさんは言う

当然のことながらコーニックさんは、恋愛には愛情やロマンスが大事だという立場だ。

「たくさんの人を一覧表にして条件をチェックしていくやり方が、あなたには有効なら、それはそれで最高だ」と笑いつつ、コーニックさんは「「その場の勢いで動くという要素を、捨てないでもらいたい」と話す。

盛り上がった気持ちに沿って行動するなど常に非合理的だという見方は、ひたすら間違っているとコーニックさんは言う。

心が奪われるということが常に非理性的であるという考え方は間違っていると。

「一目ぼれの裏側に何があるのか点検してみれば、そこにはおそらく理性的な判断基準も作用しているはずだ」

「たとえば笑いのセンスが同じだとか、共通の価値観や興味があるとか」

実際、そう考えるのはコーニックさんだけではない。要するにどういうことかというと……。

お相手探しの結末は?

コナードさんは結局、完璧な結婚相手に出会えたのだろうか?

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Image caption エド・コナードさん(左)のパートナー、ジル・デイヴィスさん(右)は「直感で」彼に決めたという

コナードさんが恋に落ち……いや、「選定した」と言うべきか? そのお相手はジル・デイヴィスさんだ。

きっちりシステマティックなコナードさんのアプローチは、おそらく「ユニーク」だとデイヴィスさんも認める。

順序立てたアプローチをおそらく「ユニーク」であると認めている。意外かもしれないが、デイヴィスさんは、相手がこのプロセスをこれほど考え抜いて作り上げたのが、「素敵」だと思ったのだ。

2人は相手を知らない状態で、紹介者を通じて出会ったのだ。デイヴィスさんの側にはこれといった方法論はなく、「ただ直感で決めた」のだという。

「エドは素晴らしい人だと思った。あんな人にそれまで会ったことがなかった」

つまりこういうことだ。コナードさんの厳しい選考プロセスにおいて、その客観的な判断基準に照らして、デイヴィスさんが最高の理想の女性として選ばれたのだ。

しかし、ロマンスの要素は? 「彼にとってはこれがロマンチック」なのだとデイヴィスさんは言う。「普通とは違ったかたちのロマンス」なのだと。

2人は結婚して18年、今も幸せに暮らしている。なので2人のロマンスの成功は、頭と心が一緒に働くこともあり得るという証明なのかもしれない。

バレンタイン・デーにちなんで、この辺を考えてみるのもいいかもしれない!

(英語記事 Forget love: This is how to find your perfect partner

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