今年の米アカデミー賞、17の豆知識 色々な初や数度目の正直

スティーヴン・マキントッシュ、エンターテインメント記者(ロサンゼルス)

Yalitza Aparicio, Glenn Close, Spike Lee, The Incredibles, Mahershala Ali and Lady Gaga Image copyright Getty/PA/Reuters/Picturehouse/Disney

ゴールデングローブ賞が終わり、英アカデミー賞が終わり、24日夜(日本時間25日朝)はいよいよ映画業界最大のイベント、米アカデミー賞の授賞式だ。

ロサンゼルスのドルビー・シアターで開かれる第91回アカデミー賞授賞式には、世界中からスターが集まる。今年の最多候補作品は、10部門ずつで候補になった「ROMA/ローマ」と「女王陛下のお気に入り」だ。

「ローマ」のアルフォンソ・キュアロン監督は、すでに前作「ゼロ・グラビティ」で監督賞を受賞済みだが、トロフィー用の棚を追加発注しているのだろうか。

今年の授賞式に向けて、変わった豆知識を17個ほど並べてみた。居酒屋のうんちく語りやクイズ大会でご活用ください(敬称略)。

1.レディー・ガガは芸名をクイーンの曲「レディオ・ガガ」からとった

英ロックバンド・クイーンの大ファンなのだというレディー・ガガだが、自分自身が大スターになった今、そのクイーンと賞を争うことになった。

主演映画「アリー/スター誕生」は今年の作品賞部門で、クイーンとそのリード・ボーカルのフレディ・マーキュリーを描いた「ボヘミアン・ラプソディ」と競っている。

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2. エイミー・アダムスとクリスチャン・ベールが共演し、共にオスカー候補になるのは3度目

2人は「ザ・ファイター」(2010年)と「アメリカン・ハッスル」(2013年)で共演し、それぞれノミネートされた。今年も、ディック・チェイニー元米副大統領を描いた「バイス」で共演し、共に候補になっている。

ベールは「ザ・ファイター」で助演男優賞を受賞したが、アダムスはこれまで6回候補になったが受賞はまだだ。

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Image caption エイミー・アダムスにとっては6度目の正直になるのか

3. マハーシャラ・アリは「グリーン・ブック」で助演男優賞をまた受賞するかもしれない

マハーシャラ・アリは2年前にも「ムーンライト」で助演男優賞を獲得している。

今年また同賞を受賞すれば、トム・ハンクスが1993年(「フォレスト・ガンプ」)と1994年(「フィラデルフィア」)で2連続して主演男優賞を得て以来の、スピード連続受賞の快挙となる。

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Image caption マハーシャラ・アリ

4. 助演男優賞候補のリチャード・E・グラントはイギリスでおなじみの顔

「ある女流作家の罪と罰」で助演男優賞候補になったグラントは、「ウィズネイルと僕」(1987年)でイギリスの一定以上の年齢層にはおなみじの顔だ。

しかし、より大事な転機となったのは「スパイス・ザ・ムービー」(1997年)だ。スパイス・ガールズのマネージャーを演じたことで、「大きな影響が2つあった」と昨年11月に米トークショーで話した。

「レナ・ダナムは『スパイス・ザ・ムービー』で僕を見ていたので、『ガールズ』に僕が出る話を4回書いてくれた。アデルも『スパイス・ザ・ムービー』のファンだったので、ロンドンのライブのチケットを送ってくれた」

5. グレン・クローズは受賞なし最多候補記録だが……

受賞のないまま候補になる回数がこれまで最も多かったグレン・クローズは、今年こそ受賞するかもしれない。「天才作家の妻」でノミネートされ、主演女優賞最有力の呼び声も高い。

過去には、「ガープの世界」、「再会の時」、「ナチュラル」、「危険な情事」、「危険な関係」、「アルバート氏の人生」で計6回、助演女優賞や主演女優賞の候補になっている。

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Image caption グレン・クローズにとって7回目の正直になるか?

6. 男優部門候補の大多数が実在の人物を演じた

主演男優候補の5人中4人が、そして助演男優候補の5人中4人が、実在の人物を演じた。

描かれたのは、ディック・チェイニー、フレディー・マーキュリー、フィンセント・ファン・ゴッホ、米俳優トニー・リップ、ピアニストのドン・シャーリー、ジョージ・W・ブッシュなどだ。

7. ネットフリックス作品が初めて作品賞候補に

キュアロン監督の「ローマ」が、動画配信サイトのネットフリックスに初の作品賞候補をもたらした。

これまでの賞レースではすでに英アカデミー賞作品賞や英インディペンデント映画賞の作品賞など、数々の賞を受賞している。

8. 「ローマ」の主演女優はこれが演技初体験

「ローマ」で主演女優賞候補になったヤリツァ・アパリシオは、この映画に抜擢されるまでは演技経験がなかった。

これまでほかに初出演作で主演女優候補になったのは、「ハッシュパピー ~バスタブ島の少女」(2013年)のクヴェンザネ・ウォリス、「プレシャス」(2009年)のガボレイ・シディベ、「トゥルー・グリット」(2010年)のヘイリー・スタイフェルドなど。

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Image caption 「ローマ」から候補となったヤリツァ・アパリシオ(左)とマリナ・デ・タヴィラ

9. 演技4部門の賞はすべて性的少数者の役にいく可能性がある

英アカデミー賞では実際、そうなった。主演女優賞と助演女優賞を得たオリヴィア・コールマンとレイチェル・ワイスは、「女王陛下のお気に入り」で恋人同士を演じた。「グリーンブック」でマハーシャラ・アリが演じるドン・シャーリーは、男性との性的接触について言及している。「ボヘミアン・ラプソディ」でラミ・マレックが演じたフレディ・マーキューリーはバイセクシュアルだった。

昨年の場合、米アカデミー賞の演技4部門の結果は、昨年の英アカデミー賞とそっくり一緒だった。「スリー・ビルボード」のフランセス・マクドーマンドとサム・ロックウェル、「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」のギャリー・オールドマン、「アイ、トーニャ」のアリソン・ジャニーの4人が、米英で受賞した。

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Image caption 昨年の英アカデミー賞と米アカデミー賞は同じ4人を演技部門の賞に選んだ

しかし今年は、英アカデミー賞ではオリヴィア・コールマンが主演女優賞に選ばれたが、米アカデミー賞ではグレン・クローズだろうと言われている。

10. アクション映画が作品賞候補に

2008年に大ヒットしたバットマン映画の「ダークナイト」が作品賞候補にならなかったことが大きな問題となり、それを機に作品賞部門の候補作の枠が5作品から10作品に増えた。

今年の候補作は8作品だが、「ブラック・パンサー」によってスーパーヒーロー映画がついに作品賞候補になるまで、10年かかった。

11. 歌曲賞でノミネート10回目

米最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグ氏を描く伝記ドキュメンタリー「RBG」の主題歌「I'll Fight(私は闘う)」で歌曲賞の候補になった作曲家、ダイアン・ウォーレンがオスカー候補になるのは、これが10回目だ。

これまでに、「コン・エアー」や「アルマゲドン」、「パール・ハーバー」などで候補になっている。

しかし、オスカー像を手に帰宅したことは一度もない。昨年には米誌タイムに、もしついに受賞することがあれば「たぶん気絶してしまう。かついで運び出してもらわないと。あまりにショックで」と話していた。

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12. 続編は受賞しにくい?

「Mr. インクレディブル」の続編「インクレディブル・ファミリー」(原題 Incredibles 2)が長編アニメ部門の候補になったが、2001年にこの部門に設立されて以来、続編の受賞はほとんどない。

最後に続編が受賞したのは、「トイ・ストーリー3」(2010年)だった(ちなみに、タイトルはまるで続編だが実は続編ではなかったのが、2014年の「Big Hero 6」(邦題「ベイマックス」)だ)。

「トイ・ストーリー3」は2作目の11年後に公開された。11年も間が開いた分だけ、アカデミーは好感したのだろうか。

「Incredibles 2」はさらに間を開けて、前作の14年後の公開だ。それが奏功するだろうか?

13. 「スター誕生」は8部門で候補になったが監督賞は逃した

ブラッドリー・クーパーが監督賞のノミネートを逃したのは、大きな話題となった。その原因の一端となったのは、昨年9月の米紙ニューヨーク・タイムズによるインタビュー記事ではないかと言われている。自分がなぜこの映画を作ったのか、自分の私生活が映画作りにどう影響したのか話そうとしないクーパー監督を、記事は痛烈に批判している。

人気俳優でもあるクーパー監督は今年に入り、アメリカの人気司会者オプラ・ウィンフリー氏によるインタビューで、監督賞ノミネートを逃して「恥ずかしかった」と認めていた。

14. ブラック・パンサーは当初、イギリス英語を話すはずだった

スーパーヒーロー初の作品賞候補作になった「ブラック・パンサー」に主演したチャドウィック・ボーズマンによると、製作会社マーベルは当初、アフリカにある架空の国「ワカンダ」の国民はイギリス英語を使うべきという意見だった。そうしないと、「観客は受け止め切れない」かもしれないと。

しかし、アフリカ人の英語発音が認められなければ、自分は役を降りる覚悟だったとボーズマンは述べた。「あまりに大事なことで、今これを諦めるなら、これから先ほかに何を諦めるのか、観客を楽にするために」と強い気持ちだったという。

「いざやると決めたら、とことんやった」

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15. メアリー・ポピンズは前作ほどは候補にならなかった

「メアリー・ポピンズ リターンズ」は音楽と歌曲、衣装と美術の計4部門でノミネートされた。

ジュリー・アンドリュースが主演した1964年の「メアリー・ポピンズ」は13部門で候補になり、アンドリュースの主演女優賞など5部門で受賞した。しかし、その年の作品賞は「マイ・フェア・レディ」が受賞した。

16. 公開時期と受賞はあまり関係なくなっている

かつては秋から暮れにかけての賞レース時期にかけて公開された作品が有利だとされたが、昨年高く評価された「ゲット・アウト」は授賞式の1年近く前に公開されたものだった。

同様に今年は、昨年3月公開の「ブラック・パンサー」や昨年8月公開の「ブラック・クランズマン」が作品賞候補になっている。

17. クリスチャン・ベールとチェイニー元副大統領は誕生日が一緒

「バイス」でチェイニー元副大統領を演じるクリスチャン・ベールと、チェイニー元副大統領本人は誕生日が同じ、1月30日だ。

しかし、政治的な立場は大きく異なると言っていいだろう。

今年1月のゴールデングローブ賞で主演男優賞を獲得した際、ベールは「この役を演じるにあたり、インスピレーションをくれたサタンに感謝する」とスピーチしていた。

(英語記事 Oscars 2019: 17 quirky facts about this year's Academy Awards

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