【解説】 ブレグジット延期要請へ、今後の展望は?

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Image caption ブレグジット議論はあと3カ月続く?

英下院は14日夜、欧州連合(EU)からの離脱を3カ月以上延期するかどうかを採決し、これを可決した。3月29日にどんな条件でEUを離脱するか、その合意形成に苦労した挙句の結果だ。

何カ月にもわたる分裂と内部紛争、そして先行き不透明感の後に今度こそ、今度こそ、これで円滑なブレグジット(イギリスのEU離脱)になると、そう思うかもしれない。

いや、まあ……そうはならない。

今回の採決で起きたこと、それが何を意味するか、次に何が起こるのか、解説する。

簡単に説明すると……

イギリスの下院議員は、3月29日にどうやってEUを離脱するべきか、合意できなかった。テリーザ・メイ首相がEUと取りまとめた離脱協定はこれまでに2度、下院で否決されている。

14日に413対202で離脱延期を決めたことで、議員たちは協定承認への望みをつないだ。

しかし、ブレグジットの期日は法律で定められたものだ。そして、延期するにはEU加盟27カ国の承認が必要となる。

さらに、イギリス議会(そして分裂している与党・保守党)が離脱協定を承認できるように期日延期が認められたとしても、議会や保守党がまとまる確証はどこにもない。

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これまでの流れ

イギリス政府は2017年3月29日に、EU基本条約(リスボン条約)50条に基づいて2年間の離脱交渉期間を開始した。

交渉期限の終わりが目前に迫る今、通商や移行期間、アイルランド国境などについて、イギリスがどのような条件でEUを離脱するか全く明確になっていない。

メイ首相が提出した2つの離脱協定案(内容はほぼ同じだった)は、イギリスの下院で過半数の支持を得られなかった。保守党内で影響力を持つEU離脱強硬派がこの協定を拒否したことが一因だった。

それが今の状況を生み出している。

協定を結ばないままEUを離脱することについては、経済への損害に加え、食品や医薬品不足、それらの値上がりといった大きな懸念が浮上している。下院議員は13日、合意なしブレグジットを否決したが、この採決に法的拘束力はない。

そして14日、3カ月かそれ以上のブレグジット延期によって何とか妥協点を見つけられるのではと期待をかけている。

しかし、事態はそのようにスムーズに進むだろうか。

今後起こりうること

ブレグジットの延期は、イギリス政府が一方的にパチンと指を鳴らせば実現するわけではない。EUの残り27カ国に「なぜ」延期が必要なのかを納得させなくてはならない。

その上でEUは、これが次に進む最善の方法だと合意する必要がある。

また、どれくらいの延期が妥当なのかという議論も持ち上がってくる。

イギリス議会は14日の採決で、EU離脱を6月30日までの3カ月間延長すべきだという意見でまとまった。

ただしこれには、下院が今月20日までに何らかの離脱協定を承認しなくてはならない。つまり、延長によって、協定発効までに十分な猶予を確保するというわけだ。

しかし現時点で提出されている協定は、12日に議員たちが圧倒的な票差で否決したものしかない。再び否決されないとは言い切れない。

一方でEU側は、より長い延長期間が必要だと示唆している。

欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(大統領に相当)は14日、EU諸国に対して「もしイギリスがブレグジット戦略を考え直し妥協点を見つける必要があると判断したなら、長い延長の可能性も考えて欲しい」と訴えた。

EU加盟国は21日にブリュッセルで首脳会議(サミット)を開く予定。

サミットに先駆け、EUはイギリスに対し、明確な戦略を示すよう求めている。

しかし延長期間が長くなったとしても、その間にイギリス議会が協定を承認するという保障はない。ただ議論が長引くだけかもしれない。

そして3カ月以上延期すると双方が合意した場合は恐らく、奇妙なことだが、イギリスは5月末の欧州議会選挙に参加する必要が出てくる。

では2度目の国民投票に切り替えるか? この選択肢もまた、英下院が14日に否決した。

離脱協定が承認されない理由は?

最大の論点は、アイルランドと北アイルランドの国境をめぐる、いわゆる「バックストップ」条項だ。

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ブレグジット用語解説:バックストップとは?

イギリスもEUも、ブレグジット後にアイルランドと英・北アイルランドの間に厳格な国境管理を復活させたくない考えだ。物理的な検問や関連施設を置くのを避けるために、双方努力してきた。

バックストップは、ブレグジット後に通商協定や技術的な解決策ががまとまらなかった場合でも、国境での摩擦をできるだけ少なくするためのセーフティーネットだ。

しかし保守党のEU離脱派は、代替策が見つからない場合、イギリスはバックストップによって恒久的にEUとの関係に縛られてしまうと懸念していた。

(英語記事 Brexit delay: What just happened?

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