振り返るブレグジットの6年間 世間ではブリトニー、アリアナ、ポケモンが……

イムラン・ラフマン=ジョーンズ、BBCニュースビート記者

Britney Spears, Angelina Jolie, Brad Pitt, Ariana Grande, Gareth Southgate, David Cameron and Theresa May and Pikachu Image copyright PA/Reuters/Getty Images

ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)。もうずっと前から果てしなく続いているような気がする。

ブレグジットの是非を問う国民投票を実施すると最初に発表された当時、カニエ・ウェストとジェイ・Zはまだ仲良しだったし、ハリー英王子とメガン妃はまだ出会ってもいなかった。

サー・アレックス・ファーガソンはまだ英サッカーのマンチェスター・ユナイテッドの監督だったし、音楽のチャート1位はWill.i.amとブリトニーだった。

この6年間を時系列で振り返ってみよう。アデル、ポケモン、レスター・シティーの力を借りて。

2013年1月23日――国民投票の実施発表

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デイヴィッド・キャメロン英首相(当時)が、次の総選挙で与党・保守党が勝てば、イギリスは欧州連合(EU)の加盟について「出るか残るか、とても単純な選択」をすることになると発表した。

当時は、ブリトニー・スピアーズをフィーチャーしたWill.i.amの「Scream & Shout」が音楽チャート1位で、アメリカではバラク・オバマ大統領(当時)の2期目が始まったばかりだった。

2015年5月8日――与党・保守党が総選挙で圧勝

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一気に2年後まで早送りをすると、与党・保守党が総選挙で圧勝し、最大野党・労働党のエド・ミリバンド氏は党首を辞任した。

一方ある大学の研究によると、この年にイギリスで最も急速に広まった言語は「絵文字」だった。

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キャメロン英首相がEU改革案を発表 離脱問う国民投票控え

2016年2月20日――キャメロン首相、国民投票の日程を決定

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イギリスとEUとの関係について、EUとの再交渉を終えたキャメロン首相は、2016年6月23日に国民投票を行うと発表した。

その数日後、英歌手アデルが、英音楽界の大きな賞、ブリット・アワードで圧勝。

「Hello」でイギリスの最優秀シングル賞を受賞したほか、最優秀イギリス・アルバム、最優秀イギリス女性ソロ歌手などに選ばれ、世界的スターの1人になった。

2016年6月23日――国民投票でイギリスはEU離脱を選択

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優勝オッズ5000対1に打ち勝ち、レスター・シティが英プレミアリーグに初優勝してから、1カ月余りのことで、まだ余韻が残っている時期だった。

EU残留か離脱かを選ぶ国民投票の結果、「離脱」が多数となり、キャメロン首相は辞任を発表した。

その3日後には、サッカー欧州選手権2016の決勝トーナメント1回戦でイングランドが、アイスランドに1-2で敗れ敗退し、ロイ・ホジソン監督は辞任。一方でウェールズは準決勝まで進んだ。

2016年7月13日――テリーザ・メイ内相が新首相に

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少数ではなく全員のための国を メイ次期英首相

ハリー王子は、知り合いに紹介された米女優メガン・マークルさんと初デートをしたばかりだった。ただし、これが広く知られるようになるのは数カ月後のことだった。

テリーザ・メイ内相が保守党総裁選を経てイギリスの新首相となり、「特権的な少数の人のために機能する国ではなく、全員のために機能する国」を作る「ひとつの国」政府を率いると約束した。

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英首相官邸前にもピカチュウ ポケモンGO大人気

国民は残る夏をポケモンを探して過ごし、ポケモンをめぐり大げんかしたり、スマートフォンを使いながら運転して線路に乗り上げたりと、なにかと騒ぎを起こした。

2016年10月2日――メイ首相、ブレグジットの期日発表

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サッカー・イングランド代表のサム・アラダイス監督が、国際サッカールールをどうやって「ごまかす」か相談する様子を盗撮されて辞任し、ギャレス・サウスゲイト氏が暫定後任に就任した。

ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーは12年間のカップル関係を解消したばかりで、テイラー・スウィフトとトム・ヒドルストンは3カ月の交際を経て別れたところだった。

こうした中でメイ首相は、イギリスが2019年3月29日にEUを離脱すると発表した。当時は、ものすごく先のことに思えた。

2017年3月29日――リスボン条約第50条発動

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英人気グループ「ワン・ダイレクション」の元メンバー、リアム・ペインとシェリル夫妻の子供「ベアー」が生まれたばかりだった。

メイ首相はEU基本条約(リスボン条約)第50条に定められた離脱の手続きを発動し、離脱まで2年間の交渉期間を正式にスタートさせた。

2017年4月18日――また総選挙の実施を発表

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メイ首相は6月に総選挙を実施すると発表し、周囲を驚かせた。保守党は圧勝するだろうという予想で、首相はブレグジット交渉における自分の権力基盤を強化したい考えだった。

一方でイギリス国民は、エド・シーランの新アルバム「÷(ディバイド)」に夢中になっていた。

2017年6月8日――総選挙の結果判明

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大方の予想を覆し、保守党は下院での単独過半数を失う。メイ首相は苦境に立たされ、北アイルランドの保守政党、民主統一党(DUP)の10議員の支持をもとに、新政府を組閣することになった。メイ首相の動きはこれで、大きく制限されることになった。

一方でイギリスだけでなく世界中でレゲトンが大流行し、「デスパシート」がチャートに君臨していた。

2017年12月8日――ブレグジット交渉の第1段階終了

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EUと英政府は、離脱条件をめぐる交渉についてギリギリで妥結し、十分な前進があったと発表した。これを受けて次の段階となる、将来の貿易協定に向けた交渉に移る見通しだった。

メイ首相は、ブレグジット後にアイルランドとの国境に「ハードボーダー」(厳格な国境管理)は導入されず、ベルファスト合意(1998年)と呼ばれる英国とアイルランドの和平合意の内容は維持されると述べた。イギリスがEUに支払ういわゆる「手切れ金」は、約390億ポンド(約5兆7000億円)になると言われた。

同首相はさらに、EU市民は英国で「これまで同様に生活できる」と語った。

一方でこのころのイギリスでは、国中が毎週日曜、サー・デイヴィッド・アッテンボロウのドキュメンタリー「ブループラネットII」を見ては、プラスチック汚染の深刻さに呆然としていた。

2018年7月9日――閣僚辞任

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デイヴィッド・デイヴィスEU離脱担当相が7月8日に辞任し、翌日にはボリス・ジョンソン外相が辞任した。

メイ内閣は6日、ロンドン北西にある首相公式別荘「チェッカーズ」に集まり、EU離脱後のEUとの関係について方針を協議、閣内合意をまとめた。チェッカーズでの閣議では、デイビス氏もジョンソン氏もメイ首相のブレグジット計画に同意していたが、48時間後には両氏とも、計画内容を支持しないので推進に協力できないと辞任した。

一方で、国民の目線はロシアに集まっていた。サッカーのワールドカップロシア大会でギャレス・サウスゲイト率いるイングランド代表が11日、クロアチア相手に準決勝を戦うことになっていたからだ。イングランド代表にとっては28年ぶりの準決勝進出で、優勝杯がついに「帰国」するかと期待が高まっていた。

2018年11月14日――イギリスとEU、離脱協定に合意

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メイ首相は14日夜、前日にEUと合意した離脱協定の内容を、内閣が承認したと発表した。しかし、国内での反発は強く、ドミニク・ラーブEU離脱担当相は15日朝、辞任を発表した。

ワールドカップ準決勝で敗退したイングランドの栄光は、もはや遠い過去のことになっている。

2018年12月12日――メイ首相、党首信任投票で勝利

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メイ首相に不満を抱く与党・保守党の議員たちが、党内規則に沿って不信任投票を実施するが、首相は200対117でこれに勝ち、留任を決めた。

このころ音楽チャートでは、アリアナ・グランデが「Thank U, Next」で6週連続1位を達成する途中だった。

2019年1月16日――メイ首相、内閣不信任案に勝利

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メイ首相がEUとまとめた離脱協定を英下院は今年1月15日、歴史的大差で否決した

翌日には最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首が提出した内閣不信任案の採決が行われたが、これは325対306の19票差でメイ首相が勝利。またしても留任が決まった。

一方で、英ナショナル・テレビジョン・アワードでは、人気司会者コンビのアントとデックが最優秀司会者に18年連続で選ばれた。

2019年2月18~20日――与野党の議員が離党

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2月18日に最大野党・労働党から議員7人が、党指導部のブレグジットに対する姿勢や「反ユダヤ主義」を批判して離党し、「独立グループ」を結成した。20日までには、これに労働党議員1人と保守党議員3人が離党して参加した。

一方で、同性愛差別と人種差別犯罪の被害に遭ったと主張していた米俳優ジャシー・スモレット氏が22日、事件を捏造(ねつぞう)したとして虚偽通報の疑いでシカゴ警察に逮捕された

ただし、担当検察は3月26日、すべての罪状でスモレット氏を不起訴にした

2019年2月24~25日――メイ首相、シャルム・エル・シェイクで欧州首脳と会談

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エジプトのシャルム・エル・シェイクで2日間にわたり欧州首脳と協議したメイ首相は、「合意のある形で、スムースかつ整然」とイギリスが離脱する方法を見つけたいと、欧州首脳が「強い決意を持っている」と確信したと述べた。

20日にはブリット・アワーズで、カルヴィン・ハリスとThe 1975が2冠をそれぞれ達成している。

2019年3月10日――メイ首相、法的拘束力のある修正を確保

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ストラスブールでEUと再交渉していた首相は11日、アイルランド国境をめぐる英下院議員たちの懸念を払うため、離脱協定に「法的拘束力のある修正」を確保したと述べた。

修正の中で特に重要なのは、アイルランドと北アイルランドの国境に関するものだった。

これに先立つ9日には、元メジャーリーガーのアレックス・ロドリゲスと歌手・女優のジェニファー・ロペスが婚約を発表した。約2年間の交際を経てロドリゲスがバハマの砂浜でプロポーズしたという。

2019年3月12日――2度目の「意味ある採決」

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ブレグジット期限の予定だった3月29日まで16日だが、下院はまたしてもメイ首相がまとめた離脱協定をまたしても否決した

同じ日にマンチェスター・シティはドイツのシャルケを7-0で破り、チャンピオンズ・リーグの準々決勝進出を決めた。

この後は、この議決を受けてメイ首相がEUに離脱期限の延期を要請し、EUは21日の首脳会議で延長に合意。下院が3月末までに離脱協定を承認すれば離脱日は5月22日に、協定が承認されなければ4月12日に延期されることになった。

下院は25日、ブレグジット審議の主導権を下院が握ると決定し、27日には離脱期限延期のための立法措置を可決した。

下院ではさらに、議員の妥協点を探るため議員提出による代替案に投票する「示唆的投票」を実施している。一方でメイ首相は、当初の離脱期限だった29日にも、離脱協定を3度目の採決にかける見通し。

(英語記事 Brexit timeline told through Britney, Ariana and Pokemon

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