【解説】 イラン、アメリカ、湾岸地域――これからどうなる?

ジョナサン・マーカス、防衛問題担当編集委員

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イランのテレビが放送した、炎上するタンカー

タンカー2隻が攻撃されたことについて、アメリカとイランはまったく矛盾した説明をしている。

アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は、素早く断固として、イランを名指しして非難した。

「この判断は、機密情報、使われた武器、作戦遂行に必要な専門技術のレベル、船舶に対する最近のイランによる攻撃、そして、これほど高度に洗練された行動を取れる胆力や熟練度をあの地域でもっている組織は他にないことに基づいている」とポンペオ氏は話した。

これはかなり厳しい判定だ。だが、機密情報がどういう性質のもので、タンカー2隻の被害に関する分析が他の情報(攻撃に関与した他の船の動きに関する人工衛星などの追跡情報など)でどれだけ裏付けられているのかについては、詳細がほとんど示されていない。

性急な判断は危険だという意見もあるだろう。

もしアメリカが何らかの対応、特に軍事的対応を考えているなら、友好国を含めた多くの国が機密情報の正確な詳細を説明するよう求めるに違いない。

Image copyright AFP
Image caption イランの革命防衛隊には15万人以上の兵士が所属しているとされる

イランはと言えば、13日の事件への関与を全面的に否定した。

実質的にぬれぎぬを着せられていると主張することで、批判をかわそうとした。

「『誰か』がイランと国際社会の関係を不安定にしようとしている」と、イラン政府職員は訴えた。

しかし、アメリカの主張は、今回の攻撃を超えて影響を及ぼす。

イランには特定のスタイルがあると、トランプ政権は強調する。先月の他のタンカーに対する機雷を使った攻撃にも、イランが関与したとアメリカは主張している。

ポンペオ氏は、「全体として、これらの理由なき攻撃は世界の平和と安全への明白な脅威で、航行の自由への露骨な攻撃、緊張をエスカレートさせる受け入れがたい行動である」と包括的な主張をした。

これは重大な告発であり、ではアメリカはどう対応するのかという問いは避けられない。

団結した外交努力はひとつの方策だろう。国際的な非難を取りまとめることや、追加的な経済制裁を通してイランをさらに孤立させることが考えられる。

だが、制裁の強化がイランに圧力をかけ、一部の人たち(独自の海軍力を維持する革命防衛隊など)に反撃を決意させるという、現在の状況を招いたのはほぼ間違いない。

誰がタンカーを攻撃したにしろ、緊張は必然的に高まっている。

アメリカは懲罰的な軍事行動のような対応を探るだろうか。

中東や他の地域の同盟国はどういう立場を取るだろうか。

そして、軍事行動はどんな結果をもたらすだろうか。

危険なとき

イランが船舶を散発的、広範囲に攻撃して一種のハイブリッド戦争を仕掛け、原油価格と保険金を上昇させ、さらなる懲罰的な反応を引き起こす危険性は現実的にある。

それは、状況の悪化を懸念する全員にとって、受け入れがたい見通しだ。

イラン、アメリカのどちらかが全面的な衝突を本当に望んでいるとは、誰も考えていない。

軍事力が強大なアメリカにしても、イランを相手に空と海で戦争を繰り広げるのは、さまざまな危険を増幅させることになる。

トランプ大統領は時に好戦的な物言いをするが、いまのところ、外国で大がかりな軍事行動を取ることには慎重な姿勢を見せている。就任後に命令した複数のシリア空爆も、象徴的な意味合いが大きかった。

恐ろしいのは、計画的な行動ではなく偶発的な出来事だ。

Image caption フロント・アルテア(Front Altair)、コクカ・カレイジャス(Kokuka Courageous)は、オマーン湾(Gulf of Oman)を航行中に攻撃を受けた

タンカーへの攻撃がどこから来たにしろ、イランもアメリカも互いに合図を送っているが、それぞれが意図したメッセージは受け取っていないのかもしれない。

例えばイランは、アメリカの中東における兵力増強を半分ははったり、半分は自分の裏庭と思っている場所での脅迫と受け止めているかもしれない。決して受け入れるつもりのない脅迫と。

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イラン・アメリカ緊迫 なぜホルムズ海峡が私たちの暮らしに影響するのか

イランの防衛隊の一部が合図を見誤ったらどうなるか。

彼らが、アメリカの許容範囲を大幅に超えた自由を中東海域で主張できると信じたらどうなるか。

言い換えれば、限界に挑戦するという彼らの言い分を超えて、彼らがアメリカやその同盟国が許さない行動に出てしまったらどうなるか。

これは国対国またはそれ以外の紛争へとつながる。危険な時だ。

フランスやドイツのようなアメリカの同盟国は、すでに注意を強く促している。

対照的に、イギリス外務省の報道官は、同国政府は「アメリカの分析に強く賛同する」とだけ述べた。

だが、もしアメリカが行動に出ることを検討するなら、証拠を分かりやすく、説得力をもって示す必要がある。

それをしなければ、トランプ氏はアメリカを長年支持してきた友好国との関係を、さらに悪化させかねない。アメリカと友好国との絆は、ただでさえほころびつつあるのだ。

(英語記事 Iran, the US and the Gulf: What now?

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