【ラグビーW杯】 8強まで勝ち進んだ日本、これから何が大事?

マイク・ヘンソン、BBCスポーツ

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Image caption 31歳の日本の主将リーチ マイケル(左から2人目)にとって、このW杯は最後となるもしれない

パーティが終わって照明が戻ったときはいつもそうだが、20日夜の東京スタジアムの光景も、現実に引き戻されるような感じだった。

ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会では、アイルランド、スコットランドをはじめ、1次リーグA組ではすべての相手を破ったブレイヴ・ブラッサムズ(日本代表)だったが、ついに昨夜、南アフリカに徹底的にやられた

日本は大きく前進した。しかし26-3というスコアは、世界レベルの真の競争相手になるにはまだ距離があることを示している。

初めて決勝トーナメントまで進んだ日本は、どうすれば今後の大会でも、実力国の固定席を確実にすることができるだろうか。

指導陣の問題

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Image caption ニュージーランドと日本でプレーした経験をもつジョセフ監督は「日本代表のメンタル面を変えた」と言われる

ニュージーランド、アイルランド、オーストラリア、ウェールズはすべて、このW杯の終了後に監督の退任が見込まれている。

後継者のプランがあるチームもあれば、ないチームもある。他のチームでも大きな動きがあるかもしれない。

日本の、鍛え上げられ団結したプレーぶりを考えれば、ジェイミー・ジョセフ監督と、右腕のトウニー・ブラウン、スコット・ハンセン両コーチは、他チームの空席を埋めるのに十分な資格を有していると言えるだろう。

ただ、チーム内から残留を望む熱烈な声が上がっている。

「このチームが変わったのはジェイミー・ジョセフのおかげだ。彼がチームを引っ張り、ラグビーを教えてくれた」とリーチ マイケル主将は話す。

センターの中村亮土は、「ジェイミーが監督になってメンタル面が変わった」と加える。

当のジョセフは、スプリングボックス(南アフリカ代表)戦で敗れた直後、この先について聞かれると、「それは言えない」と答えた。

日本ラグビー界の幹部がジョセフ残留を望むのは間違いない。だが、エディ・ジョウンズ(前日本代表監督)の時も同じだった。

現イングランド監督のジョウンズは、日本をあの有名な2015年大会の南アフリカ戦勝利に導いたあと、トウィッケナム(ロンドン南西部)に降り立った。

ジョウンズが去ることで、ジョセフと新たな発想が日本に入り込んだ。彼の後任は内部から現れるかもしれない。

「準々決勝に進出し、その途中に世界6位にもなったのは素晴らしい成果だし、ラグビー市場ではあちこちに空きが出ている」と、元イングランドのフライハーフで、BBCラジオ5ライブのアナリストをつとめるポール・グレイソン氏は解説する。

「日本は世界中に人を送り込んで技術を学び、知識を仕入れてきた。知識の基礎をどんどん強大にしているし、試合の質を向上させられる生え抜きの監督を育てている」

サンウルブズの行方

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Image caption サンウルブズはスーパーラグビーに参加し、高いレベルのプレーを肌で学んできた

日本代表の多くが、サンウルブズで共にプレーしている。

2016年創設のサンウルブズは、国際リーグ戦スーパーラグビーに参加し、南半球の一流チームと対戦している。

リーチや、スターウイングの松島幸太朗と福岡堅樹、ナンバー8の姫野和樹、フライハーフの田村優は、代表戦以外でも最高レベルのラグビーに触れている。

しかし、サンウルブズは2020年以降、参加をやめる。

今年3月、日本ラグビーフットボール協会(JRFU)とスーパーラグビーの運営側が、サンウルブズを残す方向で合意できなかったことが発表された。

サンウルブズはその代わり、JRFUの清宮克幸副会長が構想している新たな国内プロリーグに出場する可能性がある。

この新たなプロリーグが、現在の日本のトップレベルのラグビー(日本のトップリーグでは海外のスター選手と地元のアマチュアの実力選手が混在している)とどう共存できるのか、まだ調整が必要だ。

シックスネイションズ(ヨーロッパ6チーム対抗戦)やラグビーチャンピオンシップ(南半球4カ国対抗戦)から招待を受けない限り、この国内リーグをうまく整備することが、日本の選手たちをW杯が開催されない年にも成長させるうえで、とても大事になってくる。

レガシーの問題

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Image caption 20日の日本対南アフリカ戦は、大分でも多くの日本人がパブリックビューイングで観戦した

数字はあてにならない部分はあるが、最近の統計によると、ラグビーの登録済みプレーヤーは日本で10万人しかいない。バドミントンの約3分の1、バレーボールの約4分の1だ。

この15年(日本が1次リーグの埋め草から、ティア1のチームを脅かす存在へと成長した年月)をみると、じつはラグビー人口は落ち込んでいる。

選手や指導者の顔ぶれがどう変わっていこうとも、日本にとってこのW杯以降で最も大事なことは、すべての根本となるこの数字に変化をもたらすことだ。

代表ジャージーは売り切れ、手に汗握るスコットランド戦では国内だけで5480万人もの人がテレビ観戦した。その情熱を才能あふれる選手の育成につなげられるかが、日本にとっての課題だ。

「日本の人たちと話をしてきたが、ラグビーの人気はそれほど高くはない」と、BBCラジオ5ライブのコメンテーターで、ここ数週間にわたってW杯を取材してきたアンドリュー・コッター氏は言う。

「日本人はラグビーを見るのは好きだが、まだ大人気のスポーツとは言えない。日本の人口は1億2600万人だ。日本のラグビーにとってこの大会が足がかりになれれば、上質の基礎ができ上がる。そこには、体格がよくてパワーのある選手もいるだろう。トップレベルの試合で日本に致命的なのは、詰まるところ、巨体の選手が足りないことだ」

「日本はスピードと技術で、一定のところまで行けることを示した。だが、パワー争いで常に劣勢に立たされていたのでは、ラグビーはとても大変な競技だ」

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(英語記事 What next for Japan's Brave Blossoms?

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