カナダ総選挙、知っておくべき5項目

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カナダ連邦下院議会選挙(定数338)が21日(日本時間21日夜から)、投開票される。ジャスティン・トルドー首相(47)率いる与党・自由党が政権を維持できるかが焦点だ。

自由党と最大野党・保守党はそれぞれ、過半数の議席を得ようと5週間にわたる選挙戦を繰り広げてきたが、支持率は拮抗(きっこう)している。

いよいよ有権者が票を投じる日がやってきた。

カナダ総選挙に向けて知っておくべき5項目を以下にまとめた。

1. トルドー首相をめぐる国民投票

4年前の2015年、劣勢を跳ね返し歴史的勝利を収めた自由党党首のトルドー氏は、再選を目指している。

トルドー氏は、娯楽目的の大麻使用の合法化や、資力調査に基づく子供手当てなど、数多くの重要公約を実現してきた。その一方で、一部主要公約では失敗している。選挙制度の徹底的な見直しは取りやめとなり、収支の均衡を計るとしていた財政は赤字となった。

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Image caption インドの民族衣装に身を包んだジャスティン・トルドー首相(右)とソフィー・グレゴワ夫人

新しい指導者に与えられる国民やマスコミとの蜜月期間は、トルドー氏の場合、通常より長く続いたが、それでも当初の輝きは失いつつある。理由の1つは、2016年に富豪の慈善家で宗教指導者のアーガー・ハーン氏が所有するバハマ諸島の島で休暇を過ごしたことが、倫理法規違反と認定されたことだ。

それから、悲惨なインド訪問があげられる。インドの民族衣装に身を包んだ一家の写真は、正式な外遊というよりも観光色が強かった。また、シーク教過激派の疑いがある人物への公式晩餐会招待をキャンセルするなど、物議を醸した。

3つ目は、カナダのエンジニアリング・建設大手SNCラヴァランの汚職に対する司法介入疑惑だ。今年1月まで法相兼司法長官を務めていたウィルソン=レイボールド氏が、SNCラヴァランに起訴猶予合意を適用させようとする圧力を受けたと証言した。

今年9月には、肌の色の濃さを誇張する「ブラウンフェイス」の化粧をしていた学生時代の写真が報じられ、釈明に追われた。

2. 新顔の登場

トルドー氏を首相職から退かせられる見込みが最も高いのは、保守党のアンドリュー・シェア党首(40)だ。しかし、2017年の党首選で辛うじて当選したこの人物はあまりよく知られていない。労働党とつながりのある政府関係機関「クレストヴュー・ストラテジー」のマシュー・ジョン氏は、シェア氏は「ジャスティン・トルドーほどの知名度」がないと話す。

2年前から新民主党(NDP)党首を務めるジャグメート・シン氏(40)にとっては、今回が初めての連邦選挙だ。NDPは資金難にあえいでおり、党員の3割は再出馬を断念した。

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Image caption 2019年総選挙で争う4党首。左からジャスティン・トルドー(自由党)、アンドリュー・シェア(労働党)、ジャグメート・シン(新民主党)、エリザベス・メイ(緑の党)

選挙戦序盤には、政治アナリストはNDPは議席の多くを失うと予測していた。NDP関係者のアン・マグラス氏は、課題はあるものの、弱者として選挙に出馬することで「期待を上回る」可能性があると述べた。NDPは依然として支持率は4党中3位に留まってはいるものの、選挙戦終盤に支持率を大きく上げていることから、有権者がシン氏に対して最も好感を抱いていることがわかる。

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Image caption イヴ・フランソワ・ブランシェット党首はブロック・ケベコワの起死回生に一役買っている

ケベック州の主権獲得を掲げるブロック・ケベコワもまた、今年、新しい党首を迎え入れたばかり。イヴ=フランソワ・ブランシェット党首(54)率いるブロック・ケベコワは、ケベック州の有権者の注目を集めており、議席を増やすとみられている。

一方、緑の党のエリザベス・メイ党首(65)は、今回で総選挙への出馬が4回目となるベテランだ。

3. 気候変動問題が最大の焦点

環境問題同様、財源や経済問題も今回の総選挙における最重要課題だ。

経済は好調で、失業率は史上最低に近い割合まで落ち込んでいる。しかし、どの世帯にとっても生活が楽になっているわけではない。

2018年の収入1ドルあたりの平均返済負担率は1.74ドルと、主要7カ国の中で最も高かった。トロントやヴァンクーヴァーなどの都市部の住宅価格はとてつもなく高額で、マイホームを持つのは非常に難しい。

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Image caption 43回目の総選挙の議題には気候変動政策が含まれる

連邦統計によると、自由党は2017年に約27万8000人の子供を貧困から救うことにつながった子供手当てといったこれまでの実績を押し売りしている。

一方、保守党は、将来の財政への不安をかかえるカナダ国民に焦点を定めている。

激しい争点の1つは、カナダ国内の10州中4州で導入されている連邦炭素税だ。残り6州では気候変動問題の政策がうまくいっていない。パリ協定に基づく二酸化炭素排出の削減に自由党は力を入れている。炭素税の導入により、ガソリンや燃料費が高額になるが、自由党は毎年の還付金で国民に変換されると主張している。

これについてジョン氏は、「(気候変動)が問題だと認識していたとしても、税金に当てるお金がないと考えている人は大勢いる」と指摘する。

シェア氏は、炭素税は「あらゆるものに対する不公平な税」だとした上で、当選すればこの税を廃止すると約束した。

4. 誰が優勢? 誰が劣勢?

自由党の支持率は、今年1月にSNCラヴァランの司法介入疑惑で一時落ち込んだものの、着実に挽回しつつある。

選挙戦序盤に行った世論調査では、自由党と保守党がいずれも支持率が30%台で拮抗していた。総選挙目前も、両党の立ち位置はほとんど変わっていない。支持率3位はNDP。ブロック・ケベコワはケベック州で支持を獲得している。

5. ワイルドカードにとって良い選挙になるか

緑の党はこの夏、史上最も高い支持を得た。複数調査では、緑の党はNDPと同率だ。

緑の党の選挙マネジャー、ジョナサン・ディッキー氏は、同党は「多少のリスクを払っても構わないと考えている」有権者の獲得を狙っていると話す。

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(英語記事 Five things to know about Canada's election

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