香港区議会選、有力議員を破った若い候補者たち

People queue to cast their vote in front of a "Lennon Wall" adorned with tattered posters Image copyright Getty Images

香港で24日に行われた区議会選挙は、民主化運動に前例のない地すべり的勝利をもたらした。その一方で、親中派の政府は大きく後退した。

犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改定案をきっかけに始まった抗議活動は、民主化と警察の責任追及を求める運動となった。何カ月もの間、香港の若者たちは表立ってこうしたデモや抗議活動、衝突の舵取りをしてきた。

今回の選挙では、香港民主化運動の名の下に、多くの初出馬の若い候補者が有力議員を下して議席を勝ち取った。そのうちの4人を紹介する。

岑子杰(ジミー・シャム)、32歳、活動家

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Image caption 抗議運動が始まって以降、岑子杰氏は2度にわたって暴行を加えられた

抗議運動が始まって以降、岑子杰氏は2度にわたって暴行を加えられた。ハンマーや棒をもった襲撃者の身元も、襲撃の理由も分かっていない。

しかし、さまざまな抗議デモを主導している「民間人人権陣線(CHRF)」のリーダーでもある岑氏は、今回の区議会選挙で大きな勝利を収めた立候補者の1人だ。

岑氏は立候補した瀝源選区で、親中派の地区政党「公民力量」に所属する黄宇翰氏に、1000票近い差で勝利した。

CHRFのリーダーとして有名になった岑氏だが、それ以前からLGBT(性的マイノリティー)の権利活動家として活動していた。ソーシャルメディアではここ数カ月、岑氏のセクシャリティーが攻撃の標的となっていた。

10月の襲撃では、血まみれで道路に横たわっている写真が公開された。CHRFは、襲撃は政府支持者によるものだとみている。

岑氏は今後も活動を続けていくと述べると共に、選挙での勝利についてこう語った。

「どんなに林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が強かろうが、市民の希望を聞き入れ、(デモ参加者が求めている)5つの要望を満たし、若者に機会を与えてくれるよう願っている」

佳琳(キャリーン・フー)、23歳、大学卒業生

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Image caption 香港大学の美術学科を卒業したばかりの伝佳琳氏も、長年議席を守ってきた議員を破った

香港大学の美術学科を卒業したばかりの伝佳琳氏は堡塁選区で出馬し、わずか59票差で勝利した。

伝氏は香港の炮台山で生まれ育った。一家は中国福建省出身で、伝氏は香港に移り住んで3世代目に当たる。つまり、福建省とのつながりがあり、より保守的な親中派コミュニティーの出身者だ。

それだけに、伝氏が民主派として議席を獲得したことは意義が大きい。

伝氏が議席を争ったのは、香港最大の親中派政党「民主建港協進連盟(DAB)」に所属する洪連杉氏。洪氏もまた福建省系の家の出身で、2007年以降、3期にわたって保守・親中路線で議席を守ってきた重鎮だった。

ニュースメディア「HK01」によると、伝氏は反政府デモの影響で区議会選に出馬しようと決めたという。

伝氏は取材に対し、民主化運動を見てもっと香港のために何かしようと「勇気付けられた」と話している。伝氏は出馬に向け、内定が決まっていた学校での仕事を辞退したという。

彭家浩(ジョーダン・パン)、21歳、学生

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Image caption 大学在学中の彭家浩氏は、3つの立法機関で議席を持つ大物政治家、張国鈞に勝利した

彭家浩氏は、今回の区議会選挙において最も大きな逆転勝利を収めた立候補者の1人だ。彭氏は西环選区で、DABの張国鈞副党首を800票近い差で下した。

張氏は2011年から同地区で議席を守り続けていたほか、区議会、立法会(議会)、行政会議の3つの立法機関で議席を持つ大物政治家だ。

一方、香港大学政治学部の4年生で、同大学の学生連盟代表も務める彭氏は、デモ参加者の明確で情熱的な支援者として支持を集めた。

張氏は選挙結果について、「地区の運営には関係がない」と話している。

彭氏もまた、匿名の脅迫状を受け取っている学生のひとりだ。これまでに警察に投降しろ、死ねといった内容を送られてきたというが、それでも活動を続けてきた。

当選を受け、彭氏はフェイスブックで声明を発表。勝利に「恐縮している」としながらも、「まだ長い道のりが待っている」と語った。

「きょうの勝利と記録的な投票率は、この壊滅的な状況における香港市民の声をはっきりと反映している」

盧俊宇(キャリー・ロウ)、37歳、銀行法規部主任

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Image caption 民主党所属の盧俊宇氏は1200票差で親中派の何君堯議員に勝利した

民主派活動家による予想外の勝利としては、民主党所属の盧俊宇氏が挙げられるだろう。盧氏は屯門区で1200票もの差をつけ、親中派の何君堯議員から議席を奪った。

何氏は2016年に立法会の議員に選出されているため、引き続き議員として職務に当たる。

しかし何議員はこのところ、民主派活動家から憎まれる存在になっていた。今年7月、覆面と白いTシャツの集団が元朗区の地下鉄駅で民主派活動家や通行人を襲撃した事件をめぐり、覆面の男たちと握手している姿が目撃されたからだ。

何議員は疑惑を否定しているものの、先には支持者のふりをして近づいた男に刃物で刺された。屯門選区の投票結果が出た際には、何議員の敗北を喜ぶ民衆の写真がソーシャルメディアで拡散された。

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何議員は結果を受け、「野党が私を圧倒したことに感動している。彼らが暴虐から調和に変化したことは悪いことではない」とソーシャルメディアに書き込んだ。

一方、何氏に勝利した盧氏はというと、香港の海沿いをジョギングしながら住民とあいさつを交わしている動画をフェイスブックに挙げている。

盧氏は巧妙な選挙活動を展開した。しかし、その最大の勝因は何氏の対抗馬として立候補したことだというのが、大方の専門家の見解だ。

(英語記事 Hong Kong's young winners and the veterans they toppled

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