【英総選挙2019】 EU残留派と離脱派はどう投票するつもりか

サー・ジョン・カーティス、ストラスクライド大学政治学教授

EU and Union flags frame a view of the Houses of Parliament Image copyright Getty Images

12月12日の英総選挙のきっかけはブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)だった。しかし、有権者にとって、ブレグジットは今でも一番大事なテーマなのか。

投票日を目前に有権者は、国の最重要課題は何だと思っているのだろう。

各自のブレグジットに対する考えは、投票行動にどう影響するのか。要因としてどこまで大事なのか。

選挙において一番大事なテーマは何だと思うか、3社の世論調査結果(黄棒、青棒、赤棒)を4週間前(10月末から11月初め)と最近(11月末)で比較してみた。選択肢は、ブレグジット(Brexit)、医療(Health)、犯罪(Crime)、移民(Immigration)、経済(Economy)、環境(Environment)だった。

それによると、3社全ての調査結果で、医療が最も大事だと答えた人がこの4週間の間に5ポイント増えた。最大野党・労働党が医療問題の重要性を強調してきたことが、一部の有権者に一定の印象を与えたと思われる。

与野党いずれも気候変動の問題に時間をさいてきたことも、他のテーマに比べて順位は低いながらも、有権者の関心の増加に影響したようだ。

有権者の認識がこの4週間で変化した他の国内問題は、ほかに特になさそうだ。

その一方で、医療を別にすると、最も話題になるのは引き続きブレグジットで、有権者にとっての重要性に大きな変化は見られない。

ブレグジットへの姿勢が、どう投票するかに大きく影響しそうだというのも、変わらない。

EU残留派(Remainers)とEU離脱派(Leavers)に対して、どの党に入れるつもりか尋ねた4週間前(10月末から11月初め)の8社による世論調査の平均と、最近(11月末から12月初め)の9社の調査結果の平均を比較した。与党・保守党は青、労働党は赤、緑の党は緑、ブレグジット党は水色、自由民主党は黄色、スコットランド国民党とウェールズ党は合わせて青緑、その他は灰色で示した。

4週間前(4 weeks ago)は総選挙実施が決まって直後の調査。最近(Now)は選挙目前の調査だ。

比較した結果、依然として残留派と離脱派で投票意図に大きな差があることが分かった。

残留派の実に79%が、ブレグジットに関する2度目の国民投票の実施を支持する政党に投票するつもりだと答えている。

同様に、離脱派の76%が、ブレグジットを支持する政党に入れると答えている。

どちらの結果も、4週間前とほとんど変わらない。

しかし、離脱派・残留派の双方で、どの党に入れるかという答えが著しく変化した。

離脱派の間では保守党に入れるという人が12ポイント増える一方、ブレグジット党に入れると答えた人は14ポイント減った。理由の一端はもちろん、保守党が現職の選挙区では候補を立てないというブレグジット党の決定だ。

その一方で、離脱派の間では労働党に入れると答えた人が5ポイント増えたのに対して、自由民主党への支持は6ポイント下がった。

対照的に、残留派の間の保守党支持率はほとんど変わっていない。同じように、離脱派の間の労働党支持率も不変だ。

つまり、選挙期間中に有権者の意志が変化したのは、離脱派なら同じ離脱派の政党から別の政党へ、残留派なら同じ残留派の政党から別の政党へと移ったに過ぎない。ブレグジットという分断を超えた有権者は、非常に少ない。

この結果、保守党に入れるという人の大半は2016年の国民投票で離脱を支持した人になり、労働党に入れるという人の大半は残留を支持した人に集約されてきた。

今回の総選挙のテーマはブレグジットだけではないはずだ。しかし、ブレグジットは選挙戦の冒頭でも有権者の意向に大きく影響していたし、選挙戦終盤になり各自がどう投票するか決めつつある現時点でも、ブレグジットが大きく影響しているようだ。

<この記事について>

この記事は、BBC外の専門家にニュース解説の寄稿を依頼したものです。

本稿の内容のもととなった研究の詳細はこちらで見ることができます。

サー・ジョン・カーティスは英ストラスクライド大学の政治学教授で、独立調査機関・全国社会調査センターならびに独立調査機関「The UK in a Changing Europe」の上級フェロー。

(英語記事 General election 2019: How Remainers and Leavers plan to vote

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