【解説】 与党が過半数議席獲得 ブレグジットはどうなる?

ピーター・バーンズ、選挙・政治上級解説員、BBCニュース

Brexit promo image shows UK and EU flags with ? in the middle

イギリス総選挙の投票が12日午後10時(日本時間13日午前7時)に投票が締め切られ、与党・保守党が下院(定数650)で過半数議席を獲得した。欧州連合(EU)離脱を控えるイギリスは、今後どう動くのだろうか。

現在のブレグジット(イギリスのEU離脱)期日は2020年1月31日。ボリス・ジョンソン首相はブレグジットを最大の公約に掲げ、離脱期限までに議会で協定を可決するため、過半数獲得を目指していた。

現時点では離脱協定は承認されていないため、このままでは合意のないままEUを離脱することになる。

与党が過半数議席獲得……協定は可決される?

保守党は2017年の総選挙で過半数議席を取れず、北アイルランドの民主統一党(DUP)と閣外協力していた。

ただ、保守党政権とDUPは協定のアイルランド国境をめぐる条項で対立。また、保守党自体も造反や追放などで議席を減らし、法案可決が難しい状況だった。

しかし、今回の総選挙で過半数議席を獲得したことで、ジョンソン首相の離脱協定案は比較的、容易に可決されるはずだ。

首相官邸は週明けにも、離脱協定を法制化するための離脱協定法案を議会に再提出するとしている。

法案を可決し、協定を承認することで、1月31日にブレグジットを実現させたい考えだ。

しかしブレグジットそのものは、より複雑な手続きの最初の段階にすぎない。

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ブレグジット後には何が起きる?

イギリスが2020年1月31日にEUを離脱した場合、その後には非常に複雑な手続きが待っている。

最優先事項は、EUとの通商交渉だろう。ブレグジット後、イギリスは2020年末まで移行期間に入り、この間にEUとの通商関係を決めなくてはならない。

イギリスは、できる限りEUのモノやサービスへのアクセスを得たいと考えている。一方で保守党政権は、イギリスがEUの関税同盟や単一市場から離脱し、欧州司法裁判所(ECJ)の管轄から完全に抜けることを明確にしている。

時間は限られている。EU加盟27カ国とEU議会が正式な交渉の信任に合意するには数週間かかる見込みで、交渉自体が始まるのは3月になるとみられている。

通商協定は6月末までに合意に至る必要がある。またこの時点までに、イギリスは移行期間の延長(1年または2年)が必要かどうかを決めなくてはならない。

ただ、ジョンソン首相はいかなる延長も行わないとしている。

6月末までに通商協定がまとまらない場合、イギリスは協定のないまま移行期間を終えることになる。

一方、通商協定がまとまっても、批准手続きには数カ月がかかる見込みだ。

EUやその他の国々が、これほどの短期間で、これほど大規模で複雑な通商協定を結んだ例はない。

ジョンソン首相は、イギリスはEU法に完全に準じるため、交渉は簡単だと主張している。しかし、EUのルールから逸脱する自由を持つことで他の国とも協定を結びたいというイギリスの考えは、交渉を難航させるだけだと批判する声もある。

解決が必要なのは、通商協定だけではない。

安全保障や司法の面でも、EUとどう協力するのか決めなくてはならない。イギリスはブレグジットとともに、加盟国同士なら本国送還の交渉をせずに逮捕や収容を要請できる欧州逮捕状(EAW)スキームからも外れてしまうため、代わりとなる合意が必要となる。

その他の領域でも、協力関係を結ぶにはさまざまな合意が必要だ。

(英語記事 How soon will Brexit happen?

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