父がクリスチャン、母はムスリム ある家族のクリスマス

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西アフリカのイスラム教国ブルキナファソでは近年、イスラム過激派による事件が多発している。クリスマスイブの24日には過激派による襲撃で、30人以上が亡くなった。

しかしこうした悲劇の裏側には、ブルキナファソの複雑な宗教事情がある。

同国は歴史的に宗教に寛容で、イスラム教徒と、人口の23%を占めるキリスト教徒が家族になることも決して珍しい話ではない。

ジャーナリストのクレア・マクドゥーガル氏が、首都ワガドゥグーに住むとある家族を訪ねた。

今年5歳になるアイリス・オスニア・ワッタラちゃんは、父親でキリスト教カトリック信者のデニス・ワタラさんと、母親でイスラム教徒のアフォウッサトウ・サノウさんから、それぞれの宗教の伝統を受け継いでいる。

アイリスちゃんはクリスマスも、イスラム教の祭日イドも祝う。

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首都ワガドゥグーにある自宅には、赤ちゃんのころのアイリスちゃんがサンタクロースにあった時の写真が飾られている。これは2015年、デニスさんが働くセメント会社のクリスマスパーティーでの1枚だ。

アフォウッサトウさんは、「アイリスは私と一緒にモスクに行き、日曜日には父親と教会に行きます」と説明した。

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ムスリムのアフォウッサトウさんは1日に5回礼拝をする。また、金曜日にはアイリスちゃんを連れてモスク(イスラム教礼拝所)に行く。

アイリスちゃんはまた、夜明け前にアフォウッサトウさんと共に起き、1日の最初の祈りを捧げるという。

「イスラム教は寛容さ、他人の考えやものの見方を受け入れる宗教です」とアフォウッサトウさんは語った。

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簡単なイスラム教の手引き書を通じて、アイリスちゃんは沐浴(もくよく)や礼拝の方法を学んでいる。

この家にはその一方で、読み古されてくたくたになったキリスト教の賛美歌の本もある。

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デニスさんとアフォウッサトウさんは6年前、ブルキナファソ南西部のトゥシアナで出会って以来、一緒に住んでいる。

来年には結婚を予定しており、キリスト教とイスラム教、双方に敬意を表した式を挙げたいと思っている。

ブルキナファソでは、キリスト教徒の男性が、イスラム教徒の女性の親族をなだめるため、一時的にイスラム教へ改宗することもあるという。

デニスさんも、必要があれば一時的な改宗には前向きだ。

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「結婚を決めたとき、反対にもあいました」とデニスさんは語る。デニスさんの父親は、最初はこの結婚に反対していた。

アフォウッサトウさんも、「最初はとても複雑だった。私の場合は父は大丈夫だったが、母が反対している」と話した。

「男性がクリスチャンで女性がムスリムの場合、女性側の家族が拒否するのが普通です」

アフォウッサトウさんはなお、母親にデニスさんとの関係を認めてもらおうと説得中だという。

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ブルキナファソでは多くの家庭で、家族にクリスチャンとムスリム、そして伝統的な霊魂信仰者が混ざっている。

また、クリスチャンもムスリムも、互いの礼拝の場所に相手が来ることを問題視しないことが多い。

同国は歴史的にも、宗教的寛容の模範として知られている。

アフォウッサトウさんにもたくさんのキリスト教徒の友人がいる。クリスマスの日には教会にこそ行かないが、デニスさんの親族と共にクリスマスを祝っている。

「全ての祝日を祝っています。ラマダン(イスラム教の断食月)も、イド・アル・アドハ(断食明けの祝日)も、クリスマスも」

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クリスマス当日、ワガドゥグーの無原罪カトリック大聖堂は信者であふれかえることだろう。

一方で、この教会を含むさまざまな教会の外を、武装警官が警護することになる。イスラム過激派の戦闘員は近年の襲撃で、クリスチャンやムスリムを標的にしている。

クリスマスを前に、ブルキナファソの教会指導者は信徒に対し、用心を重ね、大きなかばんを持ち歩かず、不審物を通報し、警備員を尊重するよう呼びかけている。

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無原罪カトリック大聖堂の近くでは、偽の雪化粧が施されたプラスチック製のクリスマスツリーが売られていた。

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クリスマスの日、デニスさんはアイリスちゃんを連れて地元の教会へ行き、その後、アフォウッサトウさんと共におじの家に行く予定だ。

「私の宗教は、他人への愛と寛容を教えてくれます。人を裁けるのは神様だけです」

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デニスさんとアフォウッサトウさんは、アイリスちゃんが大きくなった時にどちらかの宗教を選ばせようと思っている。しかし今のところは、教会にもモスクにも連れて行くつもりだ。

アイリスちゃんがどちらを選んでも幸せだと、2人は言う。

デニスさんは、全ての信仰はたった一つの普遍的な真実を表していると信じているという。

「それに、愛はどんな宗教よりも上にあります」

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(英語記事 Christmas Day in a Christian-Muslim household)

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