【Q&A】 オーストラリア森林火災 放火説は? 渡航は? 回復は?

A fruit farmer is comforted by a journalist in Batlow, New South Wales Image copyright AFP
Image caption 一部の農家は、火災被害から回復するために長い年月や莫大な資金を費やすことになる

オーストラリアに広がる甚大な森林火災で、これまでに20人以上が死亡し、約1000万ヘクタールに延焼し、多くの動植物が犠牲になった。

火災は今後まだ何週間も続くとみられ、復旧作業には何年もかかる見通しだ。

では、オーストラリアへの旅行は安全なのだろうか? こうした森林火災は放火によるものだったのだろうか? そして、私たちには何ができるだろうか?

読者から寄せられた質問の一部に答えます。

Q. 森林火災の一部は故意に引き起こされたものなの?――サマンサさん

A. この点は、ここ数週間というもの大きな話題になっている。そしてその答えは部分的にイエスだ。毎年のことだが、毎一部の火災は放火が原因で発生している。

しかし、故意に火をつけたとして逮捕された人の数は200人近くに上るという話が広く出回っているが、その数字は正確ではない。

ニューサウスウェールズ州警察は今年1月、昨年11月以降に「森林火災に関連する犯罪行為」で183人が訴追されたと発表。そのうち、24人が故意に火をつけた罪に問われたという。それ以外は、キャンプファイヤーや、あるいはタバコやマッチを捨てるなど、火気厳禁の決まりを守らなかったことが原因だった。

警察によると、ヴィクトリア州では東部イースト・ギプスランドや北西部での火災が、放火あるいは放火の疑いのある行為によって引き起こされた証拠はないという。クイーンズランド州警察は、同州内で昨年9月以降に発生した1068件の森林火災について、114件(全体の約1割)は「故意に、あるいは悪意を持って火がつけられた、人為的な行為によるもの」だとしている。

豪モナシュ大学の講師兼自然災害専門家のポール・リード氏は、昨年11月に発表された研究結果の中で、一般的にオーストラリアの森林火災の9割弱は、人的活動が原因で発生していると書いている。人的活動には、故意の放火や、不注意や軽はずみな行動が含まれる。

オーストラリアでの年間約6万2000件の森林火災の13%余りは、落雷によるものだとリード氏は言う。ゴスパーズ山の大規模火災を引き起こしたのも落雷だった。

そしてもちろん、火災の発生原因は、その後の火災の規模にほとんど、もしくはまったく影響しない。

Q. 外国からできる実用的な支援は――スー・ラリーさん

A. オーストラリア当局は、被災地支援は公式の募金ウェブサイト経由で行うよう呼びかけている。今回の火災に特化した支援を呼びかける慈善団体には、オーストラリア赤十字、豪動物愛護協会(RSCPA)、キリスト教慈善団体「救世軍」も含まれる。消防団も寄付を募っている。

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一方で、被災地の人たちは声を揃えて、食料や衣類、そのほかの物質的な寄付はいらないと話す。

緊急当局によると、こうした支援物資を保管したり配給したりする手段がなく、現地の人が本当に必要としているのが現金だ。

当局はまた、多くの偽の慈善ホームページができていることから、寄付の際には慎重になるよう注意を呼びかけている。こうしたホームページの中には、森林火災の犠牲者の名をかたるものもある。

ヴィクトリア州当局によると、寄付を募るために勧誘の電話をかける詐欺師もいるという。

Q. この緊急事態の最中に、オーストラリアへの旅行を予約していた場合はどうなる?――アン・グラントさん

A. オーストラリアは非常に大きな国だ。豪政府機関のツーリズム・オーストラリアは、「多くの地域は被害を受けておらず、ほとんどの観光業は今も動いている」としている。一方で、森林火災のニュースが大きく扱われていることから、豪出身歌手カイリー・ミノーグさんを起用した、英国内での豪観光キャンペーンを停止している。

ツーリズム・オーストラリアは、オーストラリア旅行を予定している人は、渡航前に最新情報を確認し、旅行中は、政府機関や豪気象局、現地旅行スタッフを通じて「変化する状況に関する情報収集を続ける」べきだとしている。

現時点で、オーストラリアへの渡航回避の勧告は出ていない。英外務省からの現在の渡航案内では、森林火災の影響を受けた地域あるいはその周辺に滞在中は、地元メディアの報道を注視しするよう呼びかけている。さらに、「火災現場から離れた場所も、大気が汚染されている可能性があり、呼吸器に問題が生じる可能性がある」と注意喚起している。アメリカも同様の渡航情報を出している。

オーストラリア旅行を中止したいなら、まずは最初に、旅行を予約した会社や代理店に連絡し、指示をあおぐ必要がある。現時点では、イギリスの旅行会社には、客がキャンセルしても返金する義務はない。

旅行保険に入っている場合は、保険会社に連絡をしてどんな手段があるのかを尋ねることになる。多くの契約方針では自然災害は補償対象外だ。

もちろん、多くの観光地はできるだけ早く客に戻ってもらい、観光収入を得たいはずだ。

Q. なぜもっと早くから軍が投入されなかったのか――リズ・ギスさん

A. オーストラリア国防軍(ADF)は昨年12月後半から、目に見えるかたちで消火活動に加わるようになった。イースト・ギプスランドの火災の消火活動にあたる消防隊の援護や、沿岸部の町マラクータに取り残された人々を避難させるために、軍艦や軍用機がヴィクトリア州へ派遣された。

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Image caption 火災の影響を受けたマラクータの人々は、オーストラリアの海軍艦船「チョールズ」などで避難した

しかしADFは、昨年9月始めから、ある程度の割合で消火活動に加わっていた。

オーストラリアの各州や特別地域は、それぞれの責任で災害対応をすることになっている。しかし、同国の災害対応計画によると、各州および特別地域は、「災害による要請に適切に対応できない」場合、連邦政府に応援を求めることができる。

ADFは、消防隊の役割を果たすための訓練や装備はないと強調している。

Q. 火災のあった土地の回復にはどれくらいの時間がかかる?――ケヴィン・グラントさん

A. 回復までには長い道のりが待っている。オーストラリアの森林火災シーズンは通常、3月まで続く。

一部の植物や森林は、火災に対処するために進化してきた。さらに、幹の外側が燃えやすい性質を持つユーカリの木の場合、火がついた樹皮が剥がれ落ちることで幹の内側は守られ、根の部分に蓄えた栄養で火災後も成長ができる。しかし、今回の森林火災は、その規模や激しさが前代未聞なため、地中深くにある種子までもがダメージを受けるかもしれないと懸念されている。

オーストラリアの世界自然保護基金(WWF)のスチュアート・ブランチ博士は、「火災が収まるまで、被害の全容は不明なままだろう」、火災が延焼した多くの地域が「回復するには数十年かかるだろう。そして一部の種は絶滅の危機に陥った可能性がある」と述べた。

ブランチ博士は、一部の森林は永遠に回復しない可能性があるほか、一部の樹木が、動物が住み着くのに必要な樹洞ができるほど十分な大きさにまで成長するには、数十年かかる見込みだとしている。

「したがって、一連の火災による影響は、少なくとも200年は残る可能性がある」

Q. 畜産農家は破壊的な火災生き抜くの?――ジャニーンさん

A.  現時点ではこれが特に心配されている。酪農業者の団体によると、約70軒の酪農家が被害を受け、数千頭の牛が死んだ。BBCニュースが取材した農家の男性は、廃業せざるを得ないかもしれないと答えた。

農村の再建や再開発のための非営利財団「The Foundation for Rural Regeneration and Renewal(FRRR)」は、多くのコミュニティが「今後何年もの間、支援を必要とするだろう」としている。

農地がどれくらい素早く回復するかは、火災による被害の大きさや、火災の温度による。ほとんどの作物は失われたとみられるため(地中に残っているものは被害を免れた可能性もあるが)、植え直す必要がある。しかし、火災によって土壌の窒素が無機化されている場合には、土壌の栄養分を補うために数年かかる可能性がある。

深刻なダメージを受けつつも、果実やオリーブの木は生き延びるかもしれない。しかし、完全に回復するまでには数年がかかるだろう。そしてもちろん、農家の負担額は桁外れに大きくなるだろう。

オーストラリア保険協会(ICA)は、全体で7億豪ドル(約530億円)の損害が報告されているとしている。

Q. オーストラリア支援のため他国は何をしている?――ロイ・バートンさん

  イギリスにできることはある?――ジョック・スコットさん

複数の国が消防の専門家や装備品を現地に輸送している。その一部は以下の通り。

  • アメリカの省庁合同火災センター(NIFC)は昨年12月以降現地で対応している隊員の交代要員として、消防隊員81人を派遣(ニューサウスウェールズ州に37人、ヴィクトリア州に44人)
  • カナダの省庁合同森林火災センター(IFC)は消防隊員87人を派遣
  • ニュージーランドは最大規模の人員を派遣。消防隊員150人以上のほか、ヘリコプターや軍関係者を投入
  • シンガポールは救助活動用に大型軍用輸送ヘリ「チヌーク」2機と、軍関係者42人を派遣
  • ヴァヌアツとパプアニューギニアを含む数カ国が経済支援や軍事支援の提供を申し出
  • イギリスは支援の用意があると表明している

(英語記事 Arson, travel and recovery - your bushfire questions

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