「加油(がんばれ)武漢」 新型ウイルスで封鎖された街で

A hotel guard gestures while looking at the camera in Wuhan in China's central Hubei province Image copyright Getty Images
Image caption 武漢の人たちは互いを励ましあっている。写真はカメラに向かって笑うホテルの警備員

新型コロナウイルスによる被害が拡大するなか、中国では29日までに130人以上が死亡し、その多くは湖北省の武漢の人たちとなっている。移動が厳しく制限され、事実上の封鎖状態にある武漢で、1100万人超の市民たちは厳しい状況にありながらも、互いを励まし合っている。

「武漢、加油」

新型ウイルスの大量感染は、中国の人たちにとって特に大切な年中行事の春節(旧正月)と重なってしまった。

多くの人にとっては、家族と集まる年に一度きりの貴重な機会だ。本来ならば、ごちそうやお年玉を分け合い、家族の絆を確かめ合う、お祝いの時期だ。

しかし、武漢の人たちは今、ウイルスの感染抑制のため外出を控えるよう言われている。

そんな中で、マンションの住民たちが窓から「武漢、加油(武漢がんばれ)」と叫び、互いを励まし合う様子の動画が、ソーシャルメディアで広まっている。

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「がんばろう」と励まし合う声 封鎖状態の武漢で

「武漢加油」の合言葉は住民の間だけでなく、オンラインでも広まっている。

ソーシャルメディアサイト「微博」では「武漢加油」がトレンド入り。ツイッターでも「#武漢加油」のハッシュタグが広まっている。

微博には中国各地から、武漢の人たちに連帯を示す投稿が相次いでいる。「大丈夫、立ち直れる。武漢加油。国中が皆さんを応援している」と書き込む人もいた。

中国のソーシャルメディアでは、感染への恐怖や政府当局への怒りが大量に書かれている。しかし国営メディアは、武漢の住民が支え合う勇気と思いやりのエピソードを強調して伝えている。

レストラン店主が弁当200個を提供

長江日報によると、武漢でレストランを経営する李博さん(36)は、市内で働く医療関係者のために、春節期間を弁当を詰める作業に充てたという。

レストランを開いたのは、ほんの1カ月前だった。開店資金を確保するために、自分の車を売却し、借金をした。

ところが、事業を本格始動させる前に、新型コロナウイルスのアウトブレイク(大流行)が起きた。街中から人影が消え、レストランはさびれてしまった。

「パニックになりました。自宅で横になって、どうやってローンを返済すればいいのか、思い悩んでいました」と、李さんは長江日報に述べた。

「だけどそんな時に、医療関係者が病院で奮闘しているというニュースを見て、自分が行動する番だと感じました。自分の役割を果たしたかったんです。どんなに取るに足らないことだとしても」

新京報によると、武漢市内の一部の病院では食料が不足しているという。同市の住民2人は以前、BBCに対し、住民は食料を備蓄しようとしていると述べていた。

Image copyright Changjiang Daily
Image caption 李博さんは地元の病院で働く医療関係者のために、弁当200個を用意した

李さんとレストランのシェフは、食材の買い出しや、弁当200個分に十分足りるだけの材料を調理するのに数日を費やした。李さんは26日、長江日報に対し、食事を詰めるための容器を十分確保しようとしているところだとし、最終的に協和医院の医療スタッフに食事を届けるつもりだと述べた。

「医療スタッフに温かい食事を取ってもらうために、最善を尽くしたかったんです。彼らが必要な栄養を取って、免疫力が高まることを願っています」

李さんは、今後も可能な限り食事の提供を続ける考えだと、長江日報に明かした。「私たちが大好きなこの街の状況が、早く改善されることを願っています」。

マスク1万5000枚を寄付した住民

新型コロナウイルスへの不安から、中国各地で何千人もがマスクを購入しようと店に殺到している。一部地域では、マスク不足に陥っている。

マスクは貴重な生活必需品となった。ソーシャルメディア微博(ウェイボ)では多くの人が、春節のお年玉の代わりにマスクをもらいたいと冗談を書き込んでいる。

瀟湘晨報は、湖北省常徳市のある住民が、約1万5000枚のマスクを寄付すると決めたと報じた。

郝进さんは昨年、マスクの生産工場に勤めていた。会社側には、退職した郝さんに給料を支払う余裕がなかったという。

そこで、給与2万元(約31万円)の埋め合わせとして、マスク1万5000枚を受け取ったという。

郝さんはマスクを自宅へ持ち帰ったが、マスクが不足しているというニュースを聞くまで、その存在を忘れていたという。

「必要としている人にマスクを寄付したいと思いました。これらのマスクが他の人たちの役に立ち、価値あるものとなることを願います」

郝さんは、一握り分のマスクを自分の家族のために残した。さらに一部を近隣の人々に贈った後、残りを中国国内の人々へと寄付した。

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感染症のパンデミックとエピデミック、エンデミック……違いは?

(英語記事 Coronavirus: Tales of solidarity from China's virus-hit Wuhan

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