【解説】 米大統領選の予備選・党員集会、何のため?

The sign on the side of a barn reads "Freedom. Vote For It" in Cola, Iowa, U.S., January 28, 2020. Image copyright Reuters
Image caption 厳寒のアイオワ州の熱い党員集会で、アメリカ大統領選はスタートする

アメリカ大統領選挙が3日、アイオワ州の党員集会で始まる。党員集会・予備選とは何なのか。大統領選の本選にどうつながるのか。すべて納得のいくものではないが、できるだけ説明してみよう。

党員集会・予備選は、民主・共和両党が党としての大統領選候補者を決めるもの。アイオワ州を皮切りに、6月上旬のプエルトリコまで、アメリカのすべての州と準州で開催される。

4年前はドナルド・トランプ氏が共和党候補の座を勝ち取り、11月の本選で民主党候補ヒラリー・クリントン氏を破って、ホワイトハウスの主となった。

共和党では、現職のトランプ氏に対して2人の挑戦者が名乗りを上げている。しかし、トランプ氏の人気は高く、同党候補となることは確実視されている。

つまり、注目に値するのは民主党の党員集会・予備選だけだ。

ステップ1:スタートライン

1年ほど前から様々な人が民主党の候補者争いに手を上げ、その数は28人に上った。しかし、資金不足や世間の生ぬるい(または冷え冷えした)反応、候補者同士のやり合いの結果、16人が離脱した。

現在残るは12人。理屈上は全員にチャンスがあるが、現実には候補の座を射止める可能性があるのは数人に絞られている。

ステップ2:アイオワ州党員集会

党員集会といっても、集まるのはせいぜいが数時間だ。参加者は、支持する候補者への投票を挙手などで表明する。集会は限られた少数の場所でしか開かれない。ただ投票所に行けばいいというものはない。

そのため、わざわざ参加しようという気にさせるのが得意な候補者(例えばバーニー・サンダース氏)に有利に働きがちな選挙方式といえる。

投票の結果、得票率が15%未満の候補者が出た場合は、その支持者は得票率15%以上の他の候補者に投票し直すか、そのまま他候補に投票しないことができる。

党員集会はかつてよく開かれたが、今年の大統領選で民主党は、ネヴァダ、ノースダコタ、ワイオミング、アイオワの4州でしか開かない。

1972年以降、大統領選の皮切りになっているアイオワ州の党員集会で勝てば、その候補者は勢いを得る。ただし、アイオワ州は住民の多数が白人で、アメリカの縮図とはとても言えない。

ステップ3:ニューハンプシャー州予備選

アイオワ州党員集会の8日後の火曜日(2月11日)に、最初の予備選が、北東部の小州ニューハンプシャー州で開かれる。

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Image caption 自然豊かなニューハンプシャー州で最初の予備選が開かれる

予備選の投票方法は、一般的な選挙と同じだ。投票の結果、得票数が多い候補者ほど、数多くの「代議員」を割り振られる。

今年は例年と違い、得票率が15%に満たなかった候補者は、予備選でも党員集会でも代議員を獲得できない。

州によって代議員の人数は大きく異なる。カリフォルニア州の今年の代議員は415人。一方、ニューハンプシャー州はわずか24人だ。

ニューハンプシャー州の予備選で、誰が苦戦しているかはっきりする。一方、この予備選で勝利しても、党候補の座が約束されるわけではない。というのは、次に紹介するステップが非常に大きいからだ。

ステップ4:スーパーチューズデー

3月3日の火曜日、16の州と準州などで予備選・党員集会が開かれる。

この日の結果で、全米代議員の3分の1が割り振られる。民主党候補が誰になるのかが、かなり見えてくる。

代議員が特に多いのが、カリフォルニア州(415人)とテキサス州(228人)だ。カリフォルニアは前回より3カ月、予備選を前倒しすることになり、スーパーチューズデーの注目度を一段と高めている。

カリフォルニアとテキサス両州には多様性の非常に高い住民が住んでいるため、アイオワやニューハンプシャーとはかなり違う候補の選び方をする可能性がある。

ステップ5:残りの予備選

スーパーチューズデーの熱狂から1週間後の3月10日(火)、6州で投票があり、計352人の代議員を誰が獲得するか決まる。

この時点で候補者決定まで3カ月残っている。そして3カ月後には、代議員の役割が明確になるイベントが待っている。

ステップ6:党大会

共和党は8月24~27日、ノースカロライナ州シャーロットで党大会を開く。そこでトランプ氏が党の大統領候補に選ばれるのは、ほぼ確実だ。

一方、民主党は7月13~16日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで党大会を開催し、党の大統領候補を確認する。

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Image caption 2016年の民主党の党大会では、ヒラリー・クリントン氏が大統領候補に選ばれた

長期にわたる民主党の予備選・党員集会では、計3979人の代議員が候補者たちに割り振られる。全代議員の半数以上(1990人以上)を獲得した候補者がいれば、党大会の投票で大統領候補になることが決まる。

もし全代議員の半数以上を獲得した候補者がいなければ、党大会で2回目の投票が行われる。これには、党の実力者や歴代大統領など「スーパー代議員」と呼ばれる推定771人が加わる。スーパー代議員は誰に投票しても良いことになっている。

2回目の投票で過半数(2376票以上)を得る候補者が出れば、その人に決まる。

スーパー代議員の投票方法については、今回の選挙で規則が変わった。4年前の党大会では、スーパー代議員は1回目から投票したが、その多くがヒラリー・クリントン氏への支持を、党大会の前から事前に表明していた。そのため、ライバルのサンダース氏が不公平だと抗議していた。

ステップ7:大統領に?

ここまで来れば、大統領まであと1歩だ。11月3日の本選挙に勝利すれば、ホワイトハウスの主となる。

大統領選挙の本選については、時期が近づいたら改めて説明しよう。

(英語記事 A simple guide to US primaries and caucuses

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