ネアンデルタール人の骨、10年ぶりに発見 イラク洞窟

ポール・リンコン、BBCニュースウェブサイト科学編集長

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Image caption 「シャニダールZ」の胸郭

ネアンデルタール人としてはここ10年で初とされる、「関節でつながった」人骨が発見された。

この人骨は、イラクのシャニダール洞窟で発掘された。胴体の上部と、粉砕した頭蓋骨が残されていて、中高年の人物のものとみられる。

シャニダール洞窟における1950年代と1960年代の発掘では、ネアンデルタール人の男性と女性、子どもの計10人の骨が部分的に見つかっている。

関節のつながりが良好

ネアンデルタール人の関節でつながった人骨は、2006~2007年にスペイン南東部シマ・デ・ラス・パラモス遺跡で2010年には同コバ・フォラダ遺跡でも発掘された。

ただ、「シャニダールZ」と呼び名がつけられた今回の人骨は、これまでのものよりしっかりしていて、関節部分がより完全につながっていると、ケンブリッジ大学のエマ・ポメロイ博士は話す。

今回の発見に関する論文で筆頭著者をつとめたポメロイ博士は、「この有名なネアンデルタール人のスポットから、これほどいい状態の原始時代の証拠物が得られたことで、古代の遺伝子から、長年問題になってきたネアンデルタール人の死、そしてそれが私たちのものと似ているのかまで、最新テクノロジーを使って探ることができる」と述べた。

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Image caption 「シャニダールZ」の頭骨は粉砕されていた

初期段階の分析では、シャニダールZは7万年以上前に生存していたとみられる。性別はまだ不明で、歯が比較的擦り減っていたことから、「中年から高年齢の成人」とされる。

骨格の下部は見当たらないという。ポメロイ博士はBBCに、「胸郭と脊柱はほぼ完全だが、1960年にシャニダール4(同じ場所から見つかった別のネアンデルタール人の標本)が埋まっていた堆積層の固まりを取り除くときに、腰の部分で断絶されてしまった」と説明した。

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Image caption イラク・シャニダール洞窟の入り口

シャニダールZの体は、シャニダール4の上半身の真下に位置していた。「ティー・デイル・スチュワート(1960年の発掘プロジェクトに関わった自然人類学者)とラルフ・ソレッキ(シャニダール洞窟で初期の発掘を進めた米コロンビア大教授、故人)の研究は、シャニダール4の頭部と上半身のすぐ下に両足があったことを示している。両足の元の位置に関する限られた情報は、それらの足がシャニダールZのものであることにぴったり合う」とポメロイ博士は説明した。

シャニダールZの脚の下部と足が、同じ洞窟から発掘された別のネアンデルタール人のシャニダール6のものと間違われた可能性はある。残念ながら、シャニダールの発掘物の大部分は、2003年のアメリカ主導のイラク侵攻によって失われたとみられている。

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Image caption 「シャニダールZ」の左手部分の骨

シャニダールZの頭部の横にあった、ひときわ目立つ石は、ネアンデルタール人が繰り返し死者を置いた場所の目印として使われたのかもしれないと、ポメロイ博士は述べた。

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Image caption ネアンデルタール人の埋められていた姿勢を示す図。頭のそばに石が置かれていた

しかし、死者と死者の間隔が数週間なのか数十年なのか、それとも数世紀に及ぶのかを見極めるのは難しい。シャニダールZと他の人骨の関係は、DNA分析によって明らかになる可能性はある。

だが、暑さの厳しい地域において、遺伝子を入手するのは難しい。科学者が新たな標本からDNAを取り出すことができても、他の人骨の残りの多くが行方不明になっているので、比較対象がわずかしかないかもしれない。

「新たな発掘は、これらの体の一部が、水の流れでできた洞窟の底の溝に横たえられ、その溝は後から意図してさらに深く掘られていた可能性を示唆している」と、グラム・バーカー教授は述べた。「シャニダールZは意図的に埋められたとする初期の有力な証拠がある」

シャニダールZはケンブリッジ大学の人類学研究室に貸し出されて運び込まれた。そこでさらに何層もの泥が落とされ、保存され、デジタル技術による復元がなされるようスキャンが進められている。

(英語記事 Neanderthal 'skeleton' is first found in a decade

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