新型コロナウイルスの被害、人種に偏り? イギリスでは

ベンジャミン・ブッチャー、ジョール・マッシー、BBCリアリティー・チェック

NHS doctors

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イギリスの医療機関で働く医師の大多数は、白人以外の人種だ

新型コロナウイルスには誰でも感染する。しかし、その被害は社会の特定グループに偏っている様子が、様々な統計から明らかになっている。

アメリカのシカゴでは、人口に占める黒人の割合は約30%だが、新型ウイルスによる死者では70%超だという。同様の傾向が、ニューヨーク、デトロイト、ニューオーリンズなどアメリカ各地の主要都市で報告されている。

イギリスではどうか

アメリカと異なりイギリスでは現在、感染が確認された人数にも死者数にも、人種による偏りはない。

ただし、少数人種の人への影響が偏っていることを示すデータも中にはある。

英集中治療全国監査研究センターの統計によると、新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」で重体になった人の35%が、黒人もしくは他の少数人種だったようだ。

これはイングランド、ウェールズ、北アイルランドの集中治療室で手当てを受けている患者計2000人をもとにしている。

2011年国勢調査によると、イングランドとウェールズの人口に占める黒人および少数人種(BME)の割合は14%だった。

英レスター大学BME種医療センターのカムレシュ・クンティ教授は、「こういう話が伝聞としては出回っていて、大勢が心配していたが、この統計データから、人口比率より高い割合の黒人および少数人種の人が集中治療室に運ばれていることがうかがえる」と話す。

しかし、このデータは問題を理解するための第一歩に過ぎず、今後さらに研究と分析が必要だと、教授は指摘する。

ロンドンの感染状況

イギリスにおける新型ウイルス感染拡大は、最初からロンドンが中心だった。人口比で見ると、国内の上位10の地区はすべてロンドンに集中している。

たとえば、ロンドン北西部ブレント区では、人口10万人ごとに250人が感染している。これは全国で最多だ。

ブレント区はさらに、黒人および少数人種の住民の割合が全国2位でもある。

ロンドン全体で見ると、人口の4割が少数人種だ。

しかし、感染被害の偏りにはほかにも要因があるかもしれないと、クンティ教授は言う。

「要因としてはほかに、BME住民の社会経済的背景が低いことが多く、(接客など)対面職種についていることが多いことや、文化的な信条の背景の違い、糖尿病や心臓疾患など特定の疾病のリスクが高いことなどが考えられる」

低所得層は家庭内での自主隔離が難しいことも、BME住民の感染被害が大きいことの要因として挙げられる。

英政府統計によると、バングラデシュ系世帯の30%近くとアフリカ系黒人世帯の15%が、「過密」状態にある。

一方で、白人世帯の場合、「過密」状態にあるとされるのは2%にとどまっている。

欠かせない職種

新型ウイルス対策には、一部の職種が不可欠だとされる。医療現場や社会機能の維持には欠かせないこうした職種の人たちは、「キー・ワーカー」と呼ばれる。

たとえば、イギリスの国民医療制度、国民保健サービス(NHS)のためイングランドで働く5人に1人は、少数人種の出身だ。医師や看護師に限れば、その割合はさらに高くなる。

これまでに新型コロナウイルス治療に取り組み、感染して亡くなった医師や看護師には、複数の移民出身者がいた。

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