【解説】 新型ウイルスには2度感染する? 免疫についていま分かっていること

ジェイムズ・ギャラガー、健康・科学担当編集委員

Coronavirus

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新型コロナウイルスに再び感染する可能性は? なぜ重症化する人とそうでない人がいるのか? このウイルスは冬が来るたびに流行する? 「免疫パスポート」があれば仕事に戻れる? どうやって長期的にウイルスを制御していく?

新型コロナウイルスに関する、こうした最も重要な疑問の中心にあるのが免疫系だ。

問題は、今分かっていることは非常に少ないということだ。

新型ウイルスの免疫を獲得するには

免疫系は感染症から体を守るシステムのことで、2種類に分かれている。

ひとつは、いつでも出動の準備ができてきて、体内に侵略者が入った瞬間から動き出すもの。これは自然免疫と呼ばれており、炎症を起こす化学物質を放出するはたらきや、病原体に感染した細胞を破壊する白血球などが含まれる。

しかし、この免疫系はコロナウイルスに特化しているわけではない。病原体を学習する機能はなく、新型ウイルスに対する免疫にはならない。

ここで必要となるのはもうひとつの免疫系、獲得免疫だ。これには、ウイルスを標的とし動きを止める抗体を生成する細胞や、ウイルスに感染した細胞だけを攻撃するT細胞などがある。

獲得免疫が動き始めるには時間がかかる。研究によると、新型ウイルスを標的とした抗体が生成され、重篤な患者に強力な免疫反応が出るまでには10日ほどかかるという。

獲得免疫が十分に強力だと、その病気の記憶が残り、将来の感染から体を守ってくれる。

一方、無症状だったり軽症だった人が、十分な獲得免疫を得られるかどうかは分かっていない。

免疫はどれくらい続くのか

免疫系の記憶は、私たちのものと似ている。ある感染症についてははっきり覚えているが、別の感染症のことは忘れる、といった具合だ。

はしかは非常に覚えやすい。1度かかればその免疫は一生残るし、弱体化したウイルスを使った3種混合ワクチンも同様だ。一方で、忘れやすい感染症も数多くある。たとえば子どもは一冬に何度もRSウイルス感染症にかかることがある。

一般に新型コロナウイルスと呼ばれているSars-CoV-2について、免疫がどれくらい続くのかを知るにはまだ日が浅い。しかし、ヒトに感染する他の6種類のコロナウイルスから推測することはできる。

このうち4つは一般的なかぜを起こすもので、免疫の期間は短い。研究によると、1年に同じウイルスに2回かかる場合もあるという。

しかし通常、かぜの症状は軽いものだ。残りの2つのコロナウイルスはよりやっかいで、片方は重症急性呼吸器症候群(SARS)を、もう片方は中東呼吸器症候群(MERS)を引き起こす。どちらも、感染から数年後も体内に抗体が残っている。

英イーストアングリア大学のポール・ハンター医学教授は、「免疫を持っているかどうかではなく、どれくらい持続するかが問題だ」と説明する。

その上で、新型ウイルスの免疫が一生続かないことはほぼ確実だと話した。

「SARSの抗体研究に基づくと、まだ確実ではないものの、新型ウイルスの免疫は1年か2年しか続かない可能性がある」

しかし、完全に免疫を持っていない場合でも、2度目の感染では症状が軽くなる可能性はあるという。

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新型ウイルスに2度感染した人もいる?

純粋に2度感染したのだと指摘する人もいれば、ウイルスが体内で一度、検知できない状態になり、再び活性化したのだという説もある。

しかし、検査に問題があり、ウイルスが消えたと誤って患者に伝えられているというのが、科学者の一致した見解だ。

免疫を調べるために、故意にウイルスに再感染した人はいない。しかし2頭のアカゲザルでこの実験が行われた。

2頭はまず免疫反応を獲得するために新型ウイルスに感染させられ、3週間後にまた感染させられた。この非常に限られた実験によると、2頭には短期間での再感染では症状が現れなかった

抗体を持っていれば免疫あるのか

これはまだ確認されていない点で、ロックダウン(都市封鎖)解除に向けた「免疫パスポート」を発行しようとしている各国の動きに、世界保健機関(WHO)が神経をとがらせている理由でもある。

免疫パスポートとは、検査で抗体があると判明した人は経済活動を再開できるという考えに基づく。COVID-19が重症化する可能性のある人たちと接触する病院や介護施設の職員にとっては、特に価値のあるシステムになるとされている。

しかし、感染者のほぼ全員から何らかの抗体が検出できるだろうが、そのすべてが同じではない。新型コロナウイルスを標的にし、他の細胞への感染を防ぐ抗体を中和抗体という。中国でCOVID-19から回復した175人を対象にした研究では、この中和抗体のレベルが非常に低い人が30%に上った。

WHOが「細胞性免疫(獲得免疫の一部)も回復には重要かもしれない」と言っているのはそのためだ。

もうひとつの問題は、あなたが抗体を持っていて守られていても、ウイルスを保有し他の人にうつしてしまうことがないわけではないという点だ

なぜ免疫が重要なのか

免疫はまず個人の健康面で重要だ。あなたが何度もCOVID-19にかかるのか、どれくらいの頻度でかかるのかといったことにも関わってくる。

また、新型ウイルスの致死性にも関わってくる。免疫によって、完全ではないにせよある程度の防御機能を備えられれば、この病気の危険度は下がるだろう。

免疫を理解することで、ウイルスの感染や拡散の危険のない人が明確になり、ロックダウン緩和に役立つ可能性もある。

長期間の免疫を作ることが非常に難しいとなると、ワクチン開発も難航するだろう。あるいはワクチンの使われ方も変わってくる。一生に一度でいいのか、インフルエンザワクチンのように1年に1回必要なのか。

感染からにしろワクチンからにしろ、免疫の持続期間が分かれば、ウイルスの流行を止められるかどうかも分かってくるはずだ。

こうした大きな疑問の答えは、まだ分かっていない。