【東京五輪】 陸上男子100メートル、新王者の有力候補は

Trayvon Bromell, Ronnie Baker and Fred Kerley

画像提供, Getty Images

10年以上も続いたジャマイカの英雄ウサイン・ボルトの時代が終わり、東京オリンピックでは、陸上男子100メートルの新たな王者が生まれる。

ボルトは北京、ロンドン、リオデジャネイロの3大会連続で、100メートルと200メートルの両方を制した。今後も史上最も偉大な選手の1人として名を残すだろう。

だが世界記録保持者のボルトは2017年で引退しており、ついに別の誰かに王座を譲る。

2004年の金メダリスト、ジャスティン・ガトリンは遠ざかり、世界王者のクリスチャン・コールマンもドーピング違反で1年半の出場停止処分を受けている。オリンピックで最も栄えある男子100メートルは、新しい時代を迎えそうだ。

歴史に名を刻むのは誰か。注目の選手を紹介する。

トレイヴォン・ブロメル

画像提供, Getty Images

画像説明,

トレイヴォン・ブロメルは7月に英ゲイツヘッドであったダイヤモンドリーグ・グランプリで9秒98で優勝した

  • 年齢:26歳
  • 国:アメリカ
  • 自己ベスト:9秒77
  • 今年のベスト:9秒77

かつてボルトの王座を継ぐ可能性があると見られていたトレイヴォン・ブロメルは、2016年リオデジャネイロ大会の400メートルリレーでアキレス腱を断裂するなど、けがに悩まされた3年間を耐えてきた。

しかし、2021年6月に9秒77をマーク。最速の男として復活し、東京へと乗り込んだ。アメリカの選考会は9秒80のタイムで勝利した。

前回のオリンピックは車椅子で退場したブロメル。東京で勝利すれば、失ったものを取り戻したように感じるだろう。

フレッド・カーリー

画像提供, Getty Images

画像説明,

フレッド・カーリーは2019年世界選手権の400メートルで銅メダルを獲得。長期計画では400メートルのランナーになるとしている

  • 年齢:26歳
  • 国:アメリカ
  • 自己ベスト:9秒86
  • 今年のベスト:9秒86

アメリカの400メートル王者だったフレッド・カーリーは、100メートルと200メートルを出場種目に選び、人々を戸惑わせた。だが、アメリカのオリンピック選考会100メートルで、自己ベストの9秒86をマークして3位に。短距離でも活躍できる能力を見せつけた。

200メートルの自己ベストは19秒90。100メートル、200メートル、400メートルでそれぞれ10秒、20秒、44秒の壁を破ったのは、カーリーを含めて3人しかいない。

この多才な選手から目を離すわけにはいかない。

ロニー・ベイカー

画像提供, Getty Images

画像説明,

ロニー・ベイカーが今シーズン敗れたのは、米オリンピック選考会の準決勝と決勝だけだ

  • 年齢:27歳
  • 国:アメリカ
  • 自己ベスト:9秒85
  • 今年のベスト:9秒85

けがを克服したもう1人のアスリートがロニー・ベイカーだ。これまでで最高の年は2018年、世界室内選手権の60メートルで銅メダルを獲得し、60メートルと100メートルで自己ベストを出した時だった。2019年はけがが続いて活躍できず、世界選手権は出場を逃した。

しかし今年のオリンピック選考会では自己ベストを0.02秒上回る9秒85をマークして2位でゴール。今シーズンはスウェーデンのストックホルムとモナコで開かれたダイヤモンドリーグでも勝利した。

<関連記事>

アンドレ・ドグラス

画像提供, Getty Images

画像説明,

アンドレ・ドグラスはトレイヴォン・ブロメルと共に同じコーチの下で練習している

  • 年齢:26歳
  • 国:カナダ
  • 自己ベスト:9秒90
  • 今年のベスト:9秒90

アンドレ・ドグラスは目覚ましい記録の持ち主だ。リオデジャネイロ五輪の100メートルで銅メダル、200メートルで銀メダルを獲得。続いて2019年世界選手権でも100メートルで銅、200メートルで銀を獲得した。

その後、けがや病気で選手としての進化が阻まれたが、今年5月にはアメリカのジャクソンビルでシーズンベストの9秒92を出している。

もし金メダルを獲得できれば、カナダでは1996年のアトランタ大会男子100メートルで優勝したドノヴァン・ベイリーに続く快挙となる。

アカニ・シンビネ

画像提供, Getty Images

画像説明,

アカニ・シンビネは1908年以来となるアフリカ選手の五輪100メートル制覇を目指している

  • 年齢:27歳
  • 国:南アフリカ
  • 自己ベスト:9秒84
  • 今年のベスト:9秒84

アカニ・シンビネは、1908年ロンドン大会で100メートルを制したレジー・ウォーカー以来初のアフリカ人として、オリンピックでの王座を狙う。

2019年世界選手権は4位、2017年世界選手権と2016年リオデジャネイロオリンピックで5位の実績を持つ。コモンウェルス大会の覇者でもあり、7年連続で10秒を切っている。

7月にはハンガリーで9秒84のアフリカ記録をマーク。2006年の記録を0.01秒縮め、自身が5年前に同じ大会で出した南アフリカ記録の9秒89も上回った。

ヨハン・ブレイク

画像提供, Getty Images

画像説明,

ヨハン・ブレイクはボルトの後継者と目されてきた

  • 年齢:31歳
  • 国:ジャマイカ
  • 自己ベスト:9秒69
  • 今年のベスト:9秒98

ジャマイカは100メートルの金を死守できるのか。ヨハン・ブレイクは長い間、ボルトの後継者と目されてきた。ブレイクの自己ベスト9秒69をしのぐ記録の持ち主はボルトしかいない。

2011年世界選手権100メートルで金、2012年オリンピックでは銀メダル2個を獲得した。だがその絶好調期以降は、9秒90を切るタイムを出しておらず、個人種目で最後にメダルを獲得してからは9年がたつ。今シーズンのベストは、ジャマイカ選手権準決勝の9秒98だ。

イギリス選手の活躍は?

画像提供, Getty Images

画像説明,

ザーネル・ヒューズ、リース・プレスコッド、CJ・ウジャ(左から)。イギリス選手がオリンピック男子100メートルを制したのは、1992年バルセロナ五輪のリンフォード・クリスティが最後だ

ザーネル・ヒューズ(26)は、男子100メートルに出場するイギリス選手3人の中で最速の自己ベストをもつ。2018年にジャマイカで9秒91をマークし、ジェイムズ・ダサオルと並んでイギリス史上2位につけた。これよりいいタイムは、1992年のオリンピックで優勝したリンフォード・クリスティの9秒87のみ。ヒューズは欧州選手権も制覇し、2019年世界選手権は決勝に進出した。

リープレスコッド(25)は、2018年欧州選手権でヒューズに次ぐ2位に入り銀メダルを獲得。2017年と2018年にイギリス選手権で優勝し、自己ベスト9秒94をマークしている。

CJ・ウジャ(27)は、19歳だった2014年に9秒96をマークし、10秒の壁を破ったイギリス最年少となった。9秒台を出したのは国内5人目で、ウジャは2015年にも同じタイムで走った。リオデジャネイロ五輪の100メートルは、わずか0.01秒差で決勝進出を逃した。